2021-12-24 17:00:00

新型コロナ/検査法

新型コロナウイルスは、ヒトののど・鼻などの粘膜に付着し、そこから細胞内に侵入し、複製・増殖し、細胞外に出て他の正常な細胞に広がり、私たちの体の中で広がって行きます。

 

新型コロナウイルス感染症を診断するための検査には、PCR 検査、抗原検査などがあります。

いずれも、体内でどれくらいのウイルスが広がったかを調べるための検査です。

 

 

検査の違いをまとめた図を見つけたので、これも交えて、ご紹介しようと思います。

世界でも有名な医学雑誌の一つである「The Lancet」のホームページに掲載されていた図を、私なりに翻訳しています。

 

 

新型コロナウイルス感染症の検査について

 

①遺伝子増幅検査

 

新型コロナウイルスの遺伝子配列を調べる方法で、PCR 法などがあります。

 

PCR 法とは、特定のウイルス遺伝子を特異的に増殖させて調べる方法です。

「陽性」の場合、新型コロナウイルスが検体中に存在することを示します。

 

特徴は、特定の遺伝子を増やして調べるので、ごく少量の遺伝子を見つけることができます(感度が高い)。

また、ウイルスに特徴的な特定の遺伝子を増やすため、他のウイルスと間違うことはありません(特異性が高い)。

 

大変優れた方法なのですが、測定に時間がかかることが欠点です(結果がわかるまで、24-48時間)。

そこで、短時間で測れるように IDNOW 法や LAMP 法など、いろんな測定方法が開発されています。

 

 

 

②抗原検査

 

新型コロナウイルスに特徴的なタンパク質を調べる方法です。タンパク質を認識する抗体を使って調べます。

定量検査(量を測る)と、定性検査(あるかないかを調べる)があります。

 

「陽性」の場合、新型コロナウイルスが検体中に存在することを示します。

 

ウイルスのタンパク質を特異的に認識する抗体を使うので特異性は比較的高いのですが、

検体をとる時に血液が混じったりした場合など、タンパク質と抗体の反応を邪魔する物質があると、正しい結果が出ない可能性があるため、①の遺伝子増幅検査と比べると、感度や特異性はやや劣ります。

 

しかし、①では、高価な機器や特別な技術をもった人が必要、測定に時間がかかる、という特徴があります。

それと比べて、②の抗原検査は、迅速かつ簡便にできるため、いち早く、たくさんの人を対象に調べるには、大変優れた検査方法です。

 

さらに、定量検査と定性検査を比べると、

◯定量検査の方が、感度が高い(機器を使うので、定性検査よりも少量のウイルス量を検出できる)

その一方、

◯定性検査の方が、簡便(キットになっているため、検体をとったその場で結果がわかります)

という特徴があります。

 

 

③抗体検査

 

体内で病原体と戦っているのが、抗体です。

ワクチンをうった後や、感染した後、体内では、病原体に抵抗するために、抗体が作られます。

 

現在感染していることを調べるのではなく、過去に感染した痕跡やワクチンの効果を調べる点で、

①や②の検査法とは、大きく異なります。

 

COVID-19 diagnosis

 

それぞれの検査法で、特徴が大きく異なります。

そのため、検査する目的や状況、費用を考慮して、検査方法が選択されます。

 

 

参考)

1. 厚生労働省ホームページ >新型コロナウイルスに関する Q&A(一般の方向け)

2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第3.1版