あってよかった!お薬手帳 事例紹介 Vol. 1
あってよかった!お薬手帳 事例紹介 Vol. 1
「薬の間違いに気づけた」
私たち医療従事者にとっては、皆様がお薬手帳を持ってきてくださることで助かっていることは、日々たくさんあるのですが、お伝えできていないんだろうな、と思い、少しずつ、事例を紹介したいと思います。
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「薬の間違いに気づけた事例」
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A 病院からの処方せんに書かれていたのは
「ランタス注ソロスター」
お薬手帳に書かれていたのは、
B 病院から処方されていた
「ランタス XR 注ソロスター」
よく聞いてみると、B病院から、A病院に治療が引き継がれた時に、内容が正しく伝わっていなかったことが原因でした。
名前はよく似ており、どちらも糖尿病に使う薬ですが、効き方の特徴は異なります。
糖尿病の方に使う薬だ、という点では正しいので、処方せんだけだと、間違いに気づくことが難しいです。
お薬手帳を持ってきていただいていたので、『前の薬とは違う薬だ』ということに気づくことができ、
『あなたの治療のためには、適切ではない薬』ということに気づけました。
お薬手帳を見せていただいたからこそ、気づけた事例です。
どちらも糖尿病のお薬ですが、いつもと違う薬にしてしまうと、効き方が変わってしまうため、
その薬を使っていたら、低血糖症状を起こして、倒れてしまっていた、という事態もあり得た事例です。
ーいつも、お薬手帳をご活用いただきありがとうございます!ー
お薬手帳のいいところ
お薬手帳があると、あなたの薬の情報を正確に知ることができます。
①副作用の危険性を減らすことができます
どの薬も、好ましくない作用(副作用)の可能性はあります。
もし、副作用が起こった場合、お薬手帳に必ず書いておきましょう。
手帳に書いてあると、
・同じ薬を使わない
・同じ種類の薬は使わない
という対処ができます。
これにより、次に副作用が起こる可能性を減らすことができます。
また、この時、「どの薬なら大丈夫か?」を、お薬手帳で確認することも大切です。
ーーー(例えばこんなこと)ーーー
初めての薬局を訪れた A さん、お薬手帳を忘れてしまいました。
副作用のことを、口頭で説明することに。
「小さいときに、確かあったのよ。え〜っと、ピリンだったかしら」
実は、副作用歴があったのは、「アスピリン」でした。
ピリン系と言われる薬と、アスピリンは別の薬です。
正しく情報を把握できないと、本当は必要な薬が使えない、
ということも起こってしまいます。
お薬手帳に書いておくと、正確に伝えられるので安心です。
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(つづく)
【お薬手帳】マイナンバーカードが保険証になる??
最近、テレビ CM で、“マイナンバーカードが健康保険証になる”という話を耳にされた方も多いのではないでしょうか?
こちらは、現在、政府が進めている政策の一つです。
マイナンバーカードに健康保険証の情報を紐づけることで、
受診・来局されたときに医療機関にあるカードリーダーにマイナンバーカードをかざすと、医療保険の情報(保健番号、期限など)が医療機関に伝わります。
①どこの医療機関でも利用できるのか?
オンライン資格確認が導入されている医療機関のみで利用できます。
政府は、令和5年3月末までに、ほぼ全ての医療機関に導入されることを目指して、進めています。
(カードリーダーの設置も進められていますが、現在は、世界的な半導体不足などもあり、少しずつ進んでいる状態、とご理解ください)
※当薬局では、利用していただけるように申請していますが、機器が届いていないため、まだ、利用いただけません。
②マイナンバーカードがないと受診できないのか?
いいえ。
従来通り、健康保険証をご提示いただけると、医療保険で受診・調剤をうけることは、もちろん、可能です。
③マイナンバーカードを医療機関に一時的にでも預けるの?
いいえ。
窓口にある専用のカードリーダーを、ご自身で操作していただけます。
④マイナンバーカードを持っていたら、自動的に健康保険証が読み取られてしまうの?
いいえ。
マイナンバーカードをお持ちの方で、健康保険証としての利用に同意される方は、利用開始の手続きが必要です。
利用開始の手続きをした後に、マイナンバーカードが健康保険証として利用できます。
マイナポータルかセブン銀行ATMで手続きができます。
逆に言うと、マイナンバーカードを持っているが、健康保険証としての利用をしたくない方は、利用開始の手続きをしなければ、健康保険証の情報と繋がることはありません。
⑤マイナンバーカードを健康保険証にすると、どうなるの?
・医療機関は、オンラインで健康保険証の情報を確認します。
転職などで、健康保険証が変更になった後も、医療機関では変更を伝えていただけないとその場では分かりませんが、オンラインで確認すると、健康保険証が有効かをその場で確認することができます。
→(あなたのメリット)変更になった後、「新しい健康保険証が届いていないから受診できない」という心配が減ります。
→(医療機関のメリット)保険の請求間違いが減ります。
・これまでに受けた特定健診などの記録を、医療機関が確認できます。
→(あなたのメリット)健診結果を紙で持っていかなくても、内容を伝えることができるので、あなたの健診内容を理解した上で、あなたに合った診断・治療を受けることができます。
※カードリーダーにかざした時に「薬剤情報/特定健診情報閲覧に係る同意」に、「同意」した人については、医療機関はマイナンバーカードと紐づけられた情報を確認することができます。
・過去の投薬の記録を、医療機関が確認できます。
→(あなたのメリット)お薬手帳がない時でも、過去の投薬の記録を伝えることができます。
※カードリーダーにかざした時に「薬剤情報/特定健診情報閲覧に係る同意」に、「同意」した人については、医療機関はマイナンバーカードと紐づけられた情報を確認することができます。
・従来の支払いが変わります。
→(あなたのメリット)急な入院時などにも安心です。
入院など、支払う医療費が高額な場合には、一定額まで補助する仕組み(高額療養費制度)があります。
従来は、事前申請して、申請が通って認定証が届いた後に、その手続きをとります。
そのため、退院までに間に合わない場合など、一時的に高額な自己負担金を支払うこともありました。
今後は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、あなたが高額療養費制度等との紐付けに同意された場合、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。
※カードリーダーにかざした時に「限度額適用認定証等の情報提供に係る同意」に、「同意」した人については、限度額適用認定証の内容が確認できるため、別に申請をすることなく、手続きが可能です。(口頭で伝えることもできます)
⑥お薬手帳の代わりになるの?
残念ながら、現時点では、お薬手帳の代わりになるものではありません。
医療機関・薬局では、1ヶ月の記録をまとめて、治療費・薬代を請求しています。
医療機関・薬局から送った情報をマイナンバーカードに紐づけられるので、情報が掲載されるまでには、1ヶ月以上の時差がどうしても発生してしまいます。
さらに、お薬手帳には、過去の薬の記録だけでなく、薬の副作用、アレルギー、市販薬の記録なども残しています。これは、マイナンバーカードには載りません。
お薬手帳は、これからも引き続き、活用していただけるようお願いします。
参考)
厚生労働省ホームページ内
マイナンバーカードの健康保険証利用について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
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お薬手帳についての解説は、これまでに、こはく堂薬局のホームページにも掲載しています。
よろしければ、こちらもご参照ください。
>お薬手帳
お薬手帳活用術(1)
薬剤師としては、健康に関する記録手帳として、お薬手帳をどんどん活用してほしいと思っています。
飲んでいる薬だけでなく、症状や予防接種の記録など。
そこで、お薬手帳を活用していただくための方法を少しずつご紹介できればと思います。
(1)基本情報の管理
お薬手帳の大切な機能の一つに、「基本情報の管理」があります。これは、治療や服薬の時に注意すべき点などをまとめておくものです。基本的には、以下のような項目があります(お薬手帳の表紙見返しのページにこのような欄が設けられていることが多いです)。普段からご記入いただいておくと、必要な時に確認ができるので、非常に重要です。
上記のテンプレートは、次のような時に使えると思います。
・お薬手帳を持っていない方(お持ちのノートに貼っていただくと、お薬手帳としてご使用いただけます)
・お薬手帳がいっぱいになったため新しい手帳に情報を繰り越す方
よろしければ、ご活用ください。
お手持ちのお薬手帳にも、基本情報の欄がありますので、ぜひご確認ください。普段からご記入いただくと、いざというときに役に立ちます。
参考)
こはく堂薬局ホームページ内の記事