PCR 等無料検査 Q&A/抗原定性検査の注意点
こんにちは、こはく堂薬局です。
政府では5類への移行も検討されているようですが、感染防止のためにも、気になる時には検査をする・調子が悪い時は無理せず予定をキャンセルする、ことが重要です。
そのためにも、自己検査をうまく活用していただきたいので、そのための注意点をお伝えします。
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Q. 抗原定性検査は、結果が正しくないことがあると聞きましたが、本当ですか?
A. はい、本当です。
「完全な検査」というのは不可能です。
・偽陽性(本当は陰性なのに、誤って陽性と判定する)
・偽陰性(本当は陽性なのに、誤って陰性と判定する=見逃してしまう)
どちらも可能性があります。抗原定性検査は、PCR 検査よりも性能が劣るため、偽の結果が出る可能性は、PCR 検査よりも高いです。
ただし、「簡単にできる」「その場でわかる」という点では、非常に優れています。
そのため、いくつか、検査キットを使う際の注意点や、検査した後の過ごし方の注意点があります。
それを理解して、使っていただくことが大切です。
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「抗原定性検査」とは、検査キットを使用する簡易検査です。
自分でする場合は、鼻の入り口(2cmのところ)を綿棒で撫でて、検体をとっていただきます。
鼻の入り口から取った検体を、鼻腔ぬぐい液といいます。
自分で検査キットを購入して検査をする時は、
鼻腔ぬぐい液、または、唾液を検体として調べる検査キットを使います。
検査キットは、ウイルスを特異的に認識する抗体の反応を利用しているので、特異性が高い反応です。
(ウイルスと抗体の組み合わせは、カギとカギ穴と例えられるように目的のものを判別する反応です)
①新型コロナウイルスと他の一般的な風邪などのウイルスとは、形が違うので、間違うことはありません
②ただし、2003年に流行した SARS ウイルスと新型コロナは、形が非常に似ているので区別することができません。
現在、当薬局で検査に使用・販売している検査キットは「医療用」です。
「医療用」や「一般用医薬品」の検査キットは、このような性能をきちんと調べた上で、国から承認されています。
ただし、偽陽性や偽陰性の可能性はあります。
可能性は低いとはいえ、「絶対にありません」とは言えません。
偽陽性とは、誤って陽性と判定してしまうことを言います。
「本当は陽性」をどのように証明するかは難しいので、PCR 検査との比較によって、性能評価が行われています。
下図には抗原定性検査の性能を調べた表を示しました。指針から引用しています。
同じ人について、抗原定性検査の結果と PCR 検査の結果を比較したものです。
これは医療用の抗原定性検査キットを使用しています。
当薬局で使用しているものとは別の製品ですが、当薬局で使用している検査キットでも、これとほぼ同様の結果であることを、添付文書で確認しています。
表を見ると、抗原定性検査で陽性だった方(43人)のうち、
PCR 検査でも陽性(42人)=抗原定性検査でも「正しく陽性と判定できていた」ととれますが、
PCR 検査では陰性(1人)=抗原定性検査では「誤って陽性と判定した」、これを偽陽性と言います。
また、抗原定性検査で陰性だった方(26人)のうち、
PCR 検査でも陰性(20人)=抗原定性検査でも「正しく陰性と判定できていた」ととれますが、
PCR 検査では陽性(6人)=抗原定性検査では「誤って陰性と判定した」、つまり、『陽性を見逃した』とされ、これを偽陰性と言います。
下の表では、抗原定性検査で陰性と判定された26人のうち、6人は PCR 検査陽性でした。
これを見ると、多いな、と思うかもしれません。
これについては、体内のウイルス量が多いほど、偽陰性の可能性は低いこと(つまり、より正確にわかる)もわかっています。
ただし、体内のウイルス量が少ない、つまり、検査時点で症状がない方などは、偽陰性の可能性があることは、事前にご理解ください。
そのため、自分で検査キットを購入して使用する場合、
・購入する際には、説明をよく確認して、わからない点は質問してください
・使用する前に、使用方法をよく確認して、正しく使ってください
正しい結果を判定するために、非常に大切です。
その上で、どのようなところに注意が必要かをお伝えします。
<偽陽性への対策>
「偽陽性」を引き起こす原因には、以下のような事項があります。
◯ SARS ウイルス
◯鼻水の粘性が高い
◯反応カセットが吸湿している
◯試料の量を多く滴下した
◯反応時間が正しくない
◯ SARS ウイルス
2003年に流行した SARS ウイルスは、新型コロナと”かたち”がよく似ているため、抗原定性検査では区別することが難しいです。(当薬局で使用している検査キットでは区別できません)
ただし、現在、SARS ウイルスが流行していないため、これが影響することはないと考えます。
◯鼻水の粘性が高い
鼻水のネバネバ度が高いと、判定ラインが発色したようにみえることがあると言われています。
対策としては、
・鼻を噛んでから検査をすること や、
・鼻腔を拭った綿棒を抽出液が入ったチューブに入れて抽出する時に、しっかりと揉み解すこと
などがあります。ただし、チューブに入れて抽出する過程のやり方は、検査キットごとに違います。
検査キットに書いてある使用方法を守って、正しくお使いください。
◯反応カセットが吸湿している
抽出した検体を滴下して判定に使うための反応カセットは、使用前にはアルミ袋に入っています。
これが吸湿していると、全体的に着色したり、偽陽性の原因になると言われています。
対策は、
・使用する時にアルミ袋を開封して使ってください
検査キットを使う時は、判定に要する時間まで余裕のある時にしましょう。使用する時にアルミ袋を開けて使用しましょう。もしも、滴下する前に急な用事が入った場合、検体については、密封できる容器に入れて、冷蔵庫内の温度で保管すると1時間は保管可能とは言われていますが、カセットは袋から出して放置することは好ましくありません。アルミ袋を開けたら、判定まで続けて行いましょう。
(もちろん、火災などの急な事態の場合は避難を優先していただき、改めて、新しい検査キットを使用してください)
・冷蔵庫に保管していた場合は、室温に戻してから、アルミ袋を開けてください
検査キット自体の保管温度が2〜30℃ですので、夏場は冷蔵庫内に保管した方が安心です。ただし、冷たいまま袋を開けると温度差があるので、吸湿しやすいです。使用する15分前には室温において、室温に戻してからアルミ袋を開けましょう。
◯試料量が多い
滴下する量が多いことも偽陽性の原因になります。
滴下量も、検査キットによって異なります。使用方法に記載されている量を正しく滴下しましょう。
また、力加減も製品によって異なります。鼻汁の影響で、サラサラっと落ちることもあります。
ギューっといきなり強く握るのではなく、優しく力を加えて、ゆっくり滴下するように心がけましょう。
◯反応時間の間違い
滴下する前に、タイマーや時計をあらかじめ準備しておき、正しく時間を測りましょう。
滴下してから判定までの時間も、検査キットによって異なります。
また、検査キットには、「◯分後に判定」「◯分までに判定」と書いてあります。
必ず、この時間を守って、正しく時間を測りましょう。
長時間放置すると線が出たり消えたりする可能性があります。これは、正しい抗原-抗体反応によるものではありません。
ですので、判定の際に、写真を撮っておくことをおすすめします。
判定に要する時間を考慮して、時間の確保できるときに、検査キットを使用しましょう。
<偽陰性への対策>
微量のウイルスを見つける能力に関しては、抗原定性検査は、PCR 検査には劣ります。
抗原定性検査キットでの「陰性」は、新型コロナウイルス感染症にかかっていないことの証明ではありません。
検査キットで陰性だった場合でも以下のことに気を付けていただくことが、とても大切です。
・症状がある場合
症状がある場合は、
医療機関に電話連絡の上で相談し、受診する
再度、抗原定性検査キットでの検査を検討する
症状がある時は、無理に通勤・投稿せず、休む
ことをご注意ください。
・症状がない場合
症状がない場合でも、従来通り、基本的な感染対策を続けてください。
外出時のマスク着用
手指衛生・手指消毒
三密の回避
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○では、その結果はそもそも正しいの?
はい。発症後2〜9日目においては、抗原定性検査の結果は、PCR 検査の結果とよく一致していたため、陰性診断にも使用できると認められています。
(参考)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」
ただし、すべての検査について言えることですが、完璧ではないため、その部分を埋めるためには、正しく検査すること、状況に応じて正しく判断することが重要です。
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いろんな注意事項を申し上げましたが、医療逼迫を防ぎ、必要な対策をとっていただくためにも、
検査キットを正しく活用することが重要です。
使用方法を守って、正しくお使いください。
なぜ、こんなに色々言うかといいますと、
執筆者(薬剤師・池田)が大学在籍していた当時に日本臨床化学会に入会していたなど(現在は、退会しています)、臨床検査のことを勉強していたので、少し熱くなってしまいました。
すいません。