ブログ
【学校薬剤師】アドレナリン点鼻液やジアゼパム点鼻液は教職員は使えないのですか?
(医療従事者・関係者向け)
Q. アドレナリン点鼻液やジアゼパム点鼻液は教職員は使えないのですか?
A. 条件を満たした上で、使用できるようになりました。
ーーー
学校薬剤師として、お答えします。
🏫 学校における医薬品の使用
― 安全に対応するための基本と実践 ―
1. 学校での医薬品の使用について
学校は、子どもたちが生活する場であり、医療を行う場(治療の場)ではありません。
そのため、
- 医療用医薬品の使用は原則できない
- 一般用医薬品も提供する場ではない
とされています。
つまり学校での対応は、「治療」ではなく「安全確保・応急対応」が基本です。
2. 使用できる場合(例外)
一方で、命に関わる緊急時には、例外的に医薬品の使用が認められています。
これは、一定条件下で医行為に当たらないと公表されているためです。
参考)厚生労働省医政局長通知:「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」、医政発第0726005号、平成17年7月26日.
✔ 使用できる条件(重要)
以下のすべてを満たす必要があります
- 医師の指示がある
- 保護者からの依頼がある
- 手順が事前に共有・確認されている
👉 この3条件がそろって初めて実施可能です
3. 現在、救急時に学校で使用できる医薬品
命に関わる緊急時に限り、以下のような医薬品については、必要条件を満たした場合に、教職員が使用することが認められています。
⚡ けいれん・てんかん発作
- 抗てんかん薬(坐剤)・・けいれん発作・けいれん重積状態
- ミダゾラム口腔用液・・てんかん重積状態
- ジアゼパム点鼻液・・てんかん発作
🚨 アナフィラキシー
- アドレナリン自己注射製剤
- アドレナリン点鼻液
🍬 重症低血糖
- グルカゴン点鼻粉末
いずれも目的は、「症状の進行を止め、命を守ること」です
対象の疾患や年齢など、詳細は、必ず個別にご確認ください。
あくまでも、医師の診察を受けていて、必要な薬剤の処方を受けている人のうち、必要条件を満たす場合です。
4. 追加された医薬品
アドレナリン点鼻液・ジアゼパム点鼻液について
厚生労働省の解釈が示され、新たに「使用可能な医薬品」に追加されました。
- 「学校等におけるアナフィラキシーショック時のアドレナリン点鼻液(ネフィー®)の投与について」、事務連絡、令和8年4月16日.
- 「学校等におけるてんかん発作時のジアゼパム点鼻液 (スピジア®)の投与について」、事務連絡、令和8年4月16日.
✔ 正しい判断基準
👉 必ず“通知”を確認する
これらの新薬が販売されると、薬効の特徴から、学校で使えるのでは?と考えてしまいがちですが、必ず通知を確認しましょう。
5. 救急時に学校で医薬品を使用するときのポイント
🚨 さらに重要なポイント
これらの対応は「治療行為」ではありません
救急車が到着するまでの“つなぎの対応”です
そのため、
⚠️ 必ず行うこと
- 医薬品を使用した場合には、必ず救急要請を行う(または同時に行う)ことが重要
👉 イメージ
- ❌ 薬を使ったから様子を見る
- ⭕ 薬を使う+すぐ救急要請
使用した後の医薬品の容器などは、救急搬送の際に、救急隊員に渡しましょう。
6. 学校としての準備
安全に対応するためには、事前準備が不可欠です。
✔ 必要な取り組み
- 校内マニュアルの整備
- 使用手順の明確化
- 教職員への研修
- 定期的なシミュレーション
🎯 大切な視点
「知っている」ではなく「動ける」ことが重要
まとめ
- 学校は「治療の場」ではない
- 医薬品の使用は例外的対応
- 判断は「通知」に基づく
- 対応は「救命のための最小限」
アドレナリン点鼻液やジアゼパム点鼻液は比較的新しい薬ですので、まだ、対応事例も少ないかもしれません。
ですが、皮下注射などと比べて侵襲性が低い投与手法ですので(投与に伴う痛みなどの負担が軽度)、今後、対応する事例は増えていくと予想されます。しっかりと確認しておきましょう。
ご不明な点はご遠慮なくお申し付けください。公式LINEからでも、ご質問いただけます。







