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狭心症・心筋梗塞|毎日のセルフケア
狭心症・心筋梗塞|毎日のセルフケア
治療と一緒に、心臓を守る暮らしを整える
狭心症・心筋梗塞では、症状が治まったあとも、再発を防ぐ取り組みが大切です。
薬や通院に加えて、禁煙、食事、血圧・血糖・脂質の管理などを続けていきます。
すべてを一度に変える必要はありません。医療者と相談しながら、取り組みやすい工夫を選びましょう。
① 禁煙は、大切な取り組みです
喫煙は、心臓や血管の病気の危険性を高めます。冠動脈が一時的に強く縮む「冠攣縮性狭心症」にも関係します。
心臓を守るために、禁煙に取り組みましょう。周囲のたばこの煙を避けることも大切です。
一人で頑張らず、支援を使いましょう
- 医師や薬剤師に、禁煙したいことを伝える
- 家族にも協力をお願いする
- たばこや灰皿を、身近な場所に置かない
- 吸いたくなる場面を整理し、代わりの行動を考える
以前うまくいかなかった方も、方法や支援を変えて再び取り組めます。
② 食事は、少しずつ整える
特定の食品だけで、狭心症や心筋梗塞を防げるわけではありません。普段の食事全体を見直していきましょう。
減塩は「減らしやすいところ」から
- 麺類の汁を、全部飲まずに残す
- しょうゆやソースは、かけるより少量つける
- 漬物や汁物は、量や回数を少し減らす
- 惣菜を選ぶときは、食塩相当量を見比べる
すべてを薄味にするよりも、いつもよく食べるものから工夫してみましょう。
脂の種類と、食事の組み合わせを意識する
- 脂身の多い肉ばかりにならないよう、魚や大豆製品も取り入れる
- バターや生クリームを多く使った食品は、量や頻度を見直す
- 野菜や海藻、きのこなどを、食事に組み合わせる
- 主食・主菜・副菜を、できる範囲でそろえる
食事を極端に減らして、必要な栄養まで不足しないようにしましょう。腎臓病などで食事の指示がある方は、その内容を優先してください。
③ 血圧・血糖・脂質の管理を続ける
高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理は、再発予防の大切な部分です。
症状がなくても、検査や診察を受け、薬を指示どおりに使いましょう。
診察で確認しておきたいこと
- 自分の血圧やLDLコレステロールの目標
- 自宅で測定・記録する項目
- どんな数値や症状のときに連絡するか
心筋梗塞などの再発予防では、一般の健診基準より厳しい管理目標を設定する場合があります。
検査値が改善しても、自己判断で薬を減らしたり中止したりしないでください。
④ 体重は「減らせばよい」とは限りません
肥満がある方では、食事や運動を調整し、無理のない体重管理に取り組みます。
一方で、やせている方、食欲が落ちている方、意図せず体重が減っている方は、減量を目指す必要はありません。
特に高齢の方は、食事を減らしすぎると筋肉や体力も落ちる場合があります。体重だけでなく、食べられているか、筋力が保たれているかも確認しましょう。
⑤ 体を動かす範囲を確認する
病状が安定している方では、心臓の状態に合った運動が、体力の回復や再発予防に役立ちます。
ただし、運動の種類・強さ・時間は、人によって異なります。主治医や心臓リハビリのスタッフに確認してください。
⑥ 薬を続けやすい仕組みをつくる
胸の症状がなくなっても、再発を防ぐ薬は必要な場合があります。
- 薬を飲む時間を、毎日の決まった行動と結びつける
- 残りの薬を確認し、なくなる前に受診する
- 飲み忘れが続く場合は、薬剤師に相談する
- 発作時の薬は、持ち歩き方と使用期限を確認する
一包化や服薬カレンダーなど、管理を助ける方法もあります。
副作用が心配なときも、ご自身で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。
いつもと違う症状を、我慢しない
胸の症状が増えた、以前より少ない動作で苦しくなる、安静にしていても症状が出る場合は、次の予約日まで待たずに医療機関へ連絡してください。
強い症状がある場合は119番
- 強い胸痛や胸の圧迫感がある
- 胸の症状に、冷や汗や息苦しさを伴う
- 胸の症状が続く、繰り返して悪化する
- 失神した、意識がおかしい
薬の効果を待って、119番への連絡を遅らせないでください。自分で車を運転して受診しないでください。
今日からできる工夫を、一つ選びましょう
- 禁煙について、医師や薬剤師に相談する
- 麺類の汁を残す
- 血圧の記録を、次の診察に持っていく
- 薬がなくなる前に、受診の予定を確認する
ご家族と協力しながら、続けやすい方法を考えていきましょう。薬や生活のことで迷う場合は、薬剤師へご相談ください。
検脈(けんみゃく)|自分で脈をチェックする
検脈(けんみゃく)|自分で脈をチェックする
脈の数とリズムから、いつもとの違いに気づく
検脈とは、手首などに指を当てて、脈の数やリズムを確認することです。
脈の乱れは、動悸などの症状がなくても起こる場合があります。
「いつもと違う」に気づき、必要な受診につなげるためのセルフチェックです。
何を確認するのですか?
主に、次の2つを確認します。
- 脈の数:1分間に何回、脈を感じるか
- 脈のリズム:脈と脈の間隔が、おおむね一定か
「速い・遅い」だけでなく、「間隔がばらばら」「ときどき脈が抜けるように感じる」といった変化にも注目します。
手首で脈を測る方法
① 座って、少し休む
運動や階段の直後は避け、座って数分休んでから測りましょう。
手や腕の力を抜き、秒がわかる時計やタイマーを用意します。
② 手首の親指側に、指を当てる
片方の手のひらを上に向けます。
反対の手の人差し指と中指を、手首のしわ付近の親指側に軽く当てます。薬指も添えてかまいません。
少し位置を動かすと、「トク、トク」と脈を感じる場所が見つかります。
強く押しすぎると、脈を感じにくくなります。指先を軽く当てて確認してください。
親指は、親指自身の脈と混同しやすいため、測る指として使わないようにしましょう。
③ 脈の間隔を感じる
数を数える前に、脈の間隔がおおむね一定かを確認します。
- 規則的に続いているか
- 間隔が長くなったり短くなったりしていないか
- ときどき脈が抜けるように感じないか
④ 脈の数を数える
このページでは、1分間数える方法をおすすめします。数えた回数が、そのまま「1分間の脈拍数」です。
脈が規則的な場合は、30秒間数えて2倍する方法もあります。ただし、脈が不規則な場合は、短時間の数を何倍かせず、1分間数えてください。
数えにくいほどばらばらな場合は、無理に正確な数を出さず、「不規則で数えにくかった」と記録してください。
脈の数は、どのくらいが目安ですか?
成人が安静にしているときの脈拍数は、一般に1分間に60〜100回程度が目安です。
ただし、運動習慣、体調、発熱、緊張、服用している薬などによって変わります。脈を抑える薬を使っている方などでは、60回未満になることもあります。
目安から外れたら必ず病気、範囲内なら必ず安全、というわけではありません。
脈のリズム、普段との違い、症状の有無も合わせて確認してください。治療中の方は、ご自身の目安を主治医に確認しましょう。
脈が乱れたら、心房細動ですか?
脈の乱れだけでは、心房細動とは判断できません。
心房細動のほかにも、期外収縮などで脈が乱れることがあります。診断には、医療機関での心電図検査などが必要です。
また、心房細動が出たり止まったりする場合は、測ったときに脈が規則的でも、病気を否定できません。
いつ測るとよいですか?
朝の身支度のあとなど、落ち着いて測れる時間を決めると、普段の脈を知りやすくなります。
動悸や「いつもと違う」と感じる症状が出たときも、無理のない範囲で確認すると、診察の参考になります。
一日に何度も繰り返して確認する必要はありません。治療中の方は、測る頻度について医療者の指示に従ってください。
こんなときは医療機関へ相談してください
- 初めて脈の乱れに気づいた
- 脈の間隔がばらばらになることを繰り返す
- 休んでいても、普段より明らかに速い・遅い状態が続く
- 動悸、めまい、息切れなどを伴う
症状がなくても、新しい脈の乱れに気づいた場合は、かかりつけ医などに早めに相談してください。
診察で伝えるための記録例
日時:○月○日、朝8時
状況:座って休んでいた
脈:1分間に○回/間隔がばらばら
症状:動悸あり、めまいなし
経過:○分ほど続いた
強い症状があるときは、検脈より救急対応を
次の症状がある場合は119番へ
- 強い胸痛や胸の圧迫感がある
- 強い息苦しさや、胸の症状に伴う冷や汗がある
- 失神した、意識がおかしい
- 突然、片方の手足に力が入らない
- 突然、顔がゆがむ、ろれつが回らない、言葉が出ない
脈が正常に感じられても、救急対応が必要な場合があります。測り終えるのを待たず、119番へ連絡してください。
検脈で、心筋梗塞や脳卒中などを否定することはできません。
うまく測れないときは
脈の場所がわからない、数えにくい場合は、医師・看護師・薬剤師などに、指の当て方を確認してもらいましょう。
血圧計やスマートウォッチの脈拍表示も参考になりますが、表示だけで不整脈を診断できるわけではありません。
脈の数を見て、自己判断で薬を追加したり、中止したりしないでください。
狭心症・心筋梗塞の運動療法
狭心症・心筋梗塞の運動療法
心臓に合った運動を、無理なく続けるために
心臓の病気があるからといって、ずっと安静にする必要があるとは限りません。
病状に合った運動は、体力を保ち、日常生活での息切れや疲れやすさを軽減する助けになります。
大切なのは、心臓の状態を確認し、ご自身に合う種類・強さ・時間で行うことです。
このページの運動例について
病状が安定し、主治医から運動を許可されている方のための一般的な例です。
心筋梗塞の発症直後や、手術・カテーテル治療後の運動は、医療機関の指示に従ってください。すでに運動メニューを指示されている方は、その内容を優先してください。
心臓リハビリテーションとは?
心臓リハビリテーションは、心臓の病気がある方の回復と再発予防を支える治療です。
運動だけでなく、食事、服薬、禁煙、日常生活への復帰なども支援します。
医師や看護師、理学療法士などが、心臓の状態や体力、運動中の症状を確認し、安全な運動の範囲を一緒に決めます。
主治医に、「心臓リハビリに参加できますか?」と相談してみましょう。
運動を始める前に確認すること
- どの運動をしてよいか
- どのくらいの強さ・時間で行うか
- 運動を中止する症状や数値の目安
- 胸の症状が出たときの対応
発作時の薬が処方されている方は、持ち歩き方と使い方も確認しておきましょう。
胸の症状が増えた、安静にしていても苦しい、むくみや息切れが悪化した場合は、運動を増やさずに医療機関へ相談してください。
まずは、短い散歩から
歩行が許可されている方は、平らで歩きやすい場所を、短い時間から歩いてみましょう。
運動習慣がない方の始め方の例
- まずは5〜10分程度の短い散歩から
- 速さよりも、無理なく歩けることを優先
- 坂道や階段で負担を増やさず、平らな道を選ぶ
- 体調と翌日の疲れを確認しながら、少しずつ調整する
5〜10分は、始めやすくするための例です。全員に適した運動量ではありません。
長く続けて歩くのが難しい場合は、時間を分ける方法もあります。時間や回数を増やすときは、心臓リハビリのスタッフなどに相談してください。
運動の強さは、どう判断しますか?
自宅での目安としては、会話を続けられ、息を切らして頑張りすぎない程度にします。
ただし、会話ができれば必ず安全というわけではありません。検査に基づく運動の指示や、症状が出る強さを考慮する必要があります。
β遮断薬などを使っていると、運動中の脈拍の上がり方が変わります。「年齢から計算した心拍数」やスマートウォッチの表示だけで、運動の強さを決めないでください。
胸が苦しくなるところまで頑張る必要はありません。症状が出たら中止し、医療者へ伝えてください。
運動は、ゆっくり始めて終えましょう
| 順番 | 取り組み方 |
|---|---|
| ① 準備運動 | ゆっくり歩く、手足を軽く動かすなどして、徐々に体を慣らします。 |
| ② 主な運動 | 指示された範囲で、歩行や自転車こぎなどを行います。 |
| ③ 整理運動 | 体調に問題がなければ、ゆっくりした動きに戻してから終えます。 |
準備運動と整理運動の時間も、運動メニューに含めて確認しましょう。
胸痛やめまいなどが出た場合は、整理運動を続けようとせず、運動を中止して安全な場所で休んでください。
筋力運動もできますか?
適切な軽さの筋力運動は、筋力や日常生活の動作を保つために役立ちます。
椅子からの立ち座りや、支えにつかまって行うかかと上げなども候補ですが、始める時期や回数は、心臓の状態や足腰の力に合わせて決めます。
- 医療者に方法と負荷を確認してから行う
- 息を止めず、力を入れるときも呼吸を続ける
- 重いものを持ち上げるなど、強くいきむ運動を避ける
- 転倒しないよう、安定した椅子や支えを使う
手術後などで動作の制限がある場合は、その指示を優先してください。
運動する日の体調と環境を確認する
- 発熱や強いだるさがある日は、無理をしない
- 食べた直後や、飲酒後の運動を避ける
- 暑さ・寒さが厳しい日は、室内でできる方法を相談する
- 水分制限がある方は、医療者の指示に合わせて補給する
「昨日できたから、今日も同じ量を」と考えず、その日の体調に合わせましょう。
こんな症状が出たら中止してください
- 胸の痛み、圧迫感、締めつけられる感じ
- 普段と違う息苦しさ
- めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
- 冷や汗、吐き気
- 強い動悸
運動を中止し、安全な場所で休んでください。発作時の薬がある方は、あらかじめ指示された方法で使用します。
症状が治まっても、その日の運動を自己判断で再開せず、医療機関に連絡して対応を確認してください。
強い症状がある場合は119番
強い胸痛・圧迫感、冷や汗や息苦しさを伴う胸の症状、失神や意識の異常がある場合は、119番へ連絡してください。
薬の効果を待って連絡を遅らせないでください。自分で車を運転して受診しないでください。
続けやすい方法を、一緒に考えましょう
通院での心臓リハビリと、自宅での運動を組み合わせる方法もあります。
「長く歩けない」「膝が痛い」「一人で運動するのが不安」といった困りごとも、スタッフに伝えてください。体力や生活に合う方法へ調整できます。
運動した時間、症状、翌日の疲れなどを簡単に記録すると、運動量を相談しやすくなります。
不眠症のセルフケア⑧|相談の目安
眠れないとき、いつ相談する?
不眠の原因と受診の目安
「眠れない日が続いているけれど、
病院へ行くほどではない?」
「年齢のせいだから仕方ない?」
「睡眠薬を飲んだ方がいいのかな?」
眠れないとき、 いつ相談すればよいのか、 迷うことがあるかもしれません。
不眠の原因は、生活習慣だけではありません。 病気や薬の影響が関係している場合もあります。
眠れないことが続いたり、 日中の生活に困りごとが出ていたりするなら、 無理に我慢せず相談しましょう。
1.何日眠れなかったら、受診する?
「何日眠れなければ受診する」という、 すべての人に共通する決まりはありません。
一時的なストレスや生活の変化で、 眠れない夜が生じることもあります。
一方、眠れない状態が続き、 日中の生活に影響している場合は、 医療機関に相談することが大切です。
例えば、こんなとき
- 眠れない状態が繰り返し起こる
- 朝起きても疲れが取れない
- 日中の眠気や集中力の低下がつらい
- 仕事や家事、学業に支障が出ている
- 眠れないことへの不安が強くなっている
「3か月続くまで待つ」のは誤解
慢性不眠症では、 週3回以上の不眠が3か月以上続くことが、 診断の目安の一つとされています。
しかし、これは 「3か月経たないと受診できない」 という意味ではありません。
つらさや日常生活への支障があれば、 それより前でも相談できます。
2.受診を考えたい5つのサイン
① 眠れない状態が続いている
寝つきが悪い、途中で何度も起きる、 朝早く目が覚めるなどの状態が続いている。
② 日中の生活に支障がある
眠気、疲労感、集中力の低下などで、 普段の生活に困っている。
③ 十分眠っているのに眠い
睡眠時間は確保しているはずなのに、 日中の強い眠気や居眠りがある。
④ いびきや呼吸の異常がある
大きないびき、 睡眠中に呼吸が止まる、 息苦しくて目が覚めるなどの症状がある。
⑤ 薬を使い始めてから眠りが変わった
新しい薬を始めたり、 薬の量が変わったりしてから、 不眠や眠気が気になるようになった。
眠気が強いときの注意
運転中や作業中に眠りそうになる場合は、 事故につながる危険があります。
車の運転や危険な作業を避け、 速やかに医療機関へ相談しましょう。
3.眠れない原因は、一つとは限りません
不眠には、さまざまな要因が関係しています。
いくつかの要因が重なっていることもあります。
生活習慣や睡眠環境
- 生活リズムの乱れ
- 夕方以降のカフェイン
- 飲酒の習慣
- 寝室の暑さ、寒さ、光、音
- 長い昼寝や夕方の昼寝
体の症状や病気
- 痛み、かゆみ、咳
- 夜間の頻尿
- 胃食道逆流などによる不快感
- 呼吸器や心臓の病気
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
気持ちや生活の変化
- ストレスや不安
- 気分の落ち込み
- 仕事や家庭での負担
- 交代勤務や生活時間の変化
薬や嗜好品の影響
- 薬の作用や副作用
- カフェインやアルコール
- 薬の飲み方や服用時間
- 睡眠薬の変更や急な中止
原因が思い当たらなくても、 相談してかまいません。
4.症状から、気になる原因を考えてみましょう
大きないびき・呼吸が止まる
睡眠時無呼吸症候群が 関係している場合があります。
自分では気づきにくいため、 家族からの指摘が手がかりになることもあります。
いびきが大きい、 呼吸が止まる、 十分眠っても日中に眠い場合は、 医療機関に相談しましょう。
夕方から夜、足がむずむずする
夕方から夜にかけて、 足にむずむずした不快感があり、 動かすと少し楽になる場合は、 むずむず脚症候群の可能性があります。
鉄不足などが関係することもあり、 単なる寝つきの悪さとは 対応が異なる場合があります。
症状が続く場合は相談しましょう。
夜中に何度もトイレに起きる
水分のとり方だけでなく、 泌尿器の病気、 睡眠時無呼吸症候群、 薬の影響などが関係する場合があります。
夜間頻尿が続く場合は、 原因を確認することが大切です。
痛み・咳・かゆみで眠れない
眠りを妨げている症状そのものの 治療が必要な場合があります。
睡眠薬だけで解決しようとせず、 体の症状についても相談しましょう。
気分の落ち込みや強い不安がある
不眠と気分の変化が、 互いに影響し合うことがあります。
気分の落ち込み、 強い不安、 興味や意欲の低下などが続く場合は、 医療機関に相談しましょう。
5.薬が睡眠に影響することもあります
薬の中には、 眠気を起こすものもあれば、 眠りを妨げる場合があるものもあります。
例えば、薬の種類によって、 次のような影響が生じることがあります。
- 日中に眠くなる
- 夜に寝つきにくくなる
- 夜間の尿意で目が覚めやすくなる
- 落ち着かなさや不快感が出る
ただし、同じ薬でも すべての方に同じ影響が出るわけではありません。
薬剤師に伝えてほしいこと
- いつから眠りが変わったか
- 最近始めた薬や増量した薬があるか
- 眠気やふらつきもあるか
- 市販薬やサプリメントを使っているか
薬は自己判断で中止しないでください
急に中止すると、 もとの病気が悪化したり、 離脱症状が生じたりする薬もあります。
睡眠薬についても、 中止や減量は医師・薬剤師と相談して 進めることが大切です。
6.急いで医療機関に相談したいとき
眠れないという症状だけでなく、 一緒に起こっている症状によっては、 早急な医療対応が必要です。
緊急の対応が必要な症状
- 呼びかけても反応が乏しい
- 意識が急におかしくなった
- 強い呼吸困難がある
- 激しい胸の痛みがある
- 自分を傷つけそうで、安全を保てない
このような場合は、 不眠の相談として待たず、 救急車(119)など緊急の医療対応を求めてください。
数日ほとんど眠らず、様子が大きく変わった場合
眠っていないのに異常に活動的になる、 話し続ける、 普段と違う言動が目立つ、 現実と異なることを強く確信するなどの 変化がある場合も、速やかに医療機関へ相談してください。
7.どこに相談すればいい?
最初から睡眠専門の医療機関を 探さなければならないわけではありません。
かかりつけ医・内科
不眠が続く場合や、 体の症状、持病が関係していそうな場合の 相談先になります。
睡眠を専門とする医療機関
いびき・無呼吸、 強い日中の眠気、 長引く不眠などについて、 専門的な検査や治療が必要な場合に相談します。
精神科・心療内科など
強い不安や気分の落ち込みなどがあり、 睡眠にも影響している場合の 相談先になります。
心療内科で扱う病気や診療内容は、 医療機関によって異なります。
薬局・薬剤師
薬の副作用や飲む時間、 市販の睡眠改善薬、 睡眠薬の使い方が気になる場合は、 薬局でも相談できます。
必要に応じて、 医療機関への受診をお勧めします。
8.受診するとき、何を伝えればいい?
眠れないことを、 うまく説明できなくても大丈夫です。
次のようなことがわかると、 原因を考える手がかりになります。
相談前の簡単なメモ
- いつごろから眠れないか
- 寝つけない、途中で起きる、早朝に目覚めるなど、どのような症状か
- 日中にどんな困りごとがあるか
- いびき、足のむずむず、痛み、頻尿などがあるか
- 現在使っている薬や市販薬
- 最近の生活や体調の変化
すべてを正確に覚えておく必要はありません。
お薬手帳がある方は、 受診の際に持参すると役立ちます。
睡眠チェックシートも活用できます
厚生労働省では、 睡眠習慣や休養感などを確認できる チェックシートを公開しています。
睡眠チェックシート(厚生労働省) 睡眠の状態を振り返る際や、 医療機関に相談するときの参考資料です。PDFを見る →
※記録が負担になる場合は、 無理に続ける必要はありません。
9.受診したら、必ず睡眠薬が処方される?
必ずしも睡眠薬が必要になるわけではありません。
不眠の原因や症状によって、 治療方法は異なります。
原因となる病気や薬の見直し、 生活習慣の調整、 不眠症の認知行動療法(CBT-I)、 薬物療法などが検討されます。
CBT-Iは、慢性不眠症に対して 効果が認められている治療法の一つです。
治療の必要性や方法は、 医師と相談しながら決めていきます。
よくある質問(Q&A)
Q.眠れない日が2~3日続いただけでも相談していい?
相談してかまいません。
短期間の不眠でも、 日中生活への影響が大きい場合や、 ほかの症状を伴う場合は、 早めの相談が適切です。
Q.高齢だから眠れないのは仕方ありませんか?
年齢だけのせいと決めつける必要はありません。
加齢によって睡眠は変化しますが、 痛み、頻尿、睡眠障害、薬の影響などが 関係している場合もあります。
困っていることがあれば相談しましょう。
Q.睡眠薬を飲みたくないのですが、受診してもいい?
睡眠薬を希望していなくても受診できます。
不眠の原因を確認したり、 薬を使わない治療について相談したりすることも 大切な受診の目的です。
薬への不安や希望は、 診察時に伝えましょう。
Q.睡眠薬を飲んでいるのに眠れません。
自己判断で薬を増やさず、 処方医や薬剤師に相談してください。
不眠の原因や薬の効果、 服用時間、ほかの病気などを 見直す必要がある場合があります。
Q.市販の睡眠改善薬を使ってもいいですか?
不眠の原因や、現在使用している薬を 確認してから選ぶことが大切です。
市販の睡眠改善薬には、 一時的な不眠を対象とするものがありますが、 慢性的な不眠症の治療に代わるものではありません。
抗ヒスタミン成分を含む製品では、 翌日まで眠気が残ったり、 口の渇きや排尿への影響が出たりすることもあります。
特に高齢者や持病のある方、 ほかの薬を使っている方は、 購入前に薬剤師に相談してください。
Q.どの診療科に行けばよいかわかりません。
まずは、かかりつけ医に相談する方法があります。
症状に応じて、 睡眠を専門とする医療機関などを 紹介してもらえる場合があります。
薬の影響が気になるときは、 薬局でもご相談ください。
まとめ|眠れないことを、一人で抱え込まない
- 受診まで必ず3か月待つ必要はない
- 日中生活への影響があれば相談の目安になる
- いびき、無呼吸、足のむずむずなどにも注目する
- 薬や持病が睡眠に関係することもある
- 相談先に迷ったら、かかりつけ医や薬剤師へ
眠れない原因は人によってさまざまです。
生活習慣を工夫しても、 なかなか改善しない場合があります。
「相談するほどではないかも」と 我慢しすぎず、 困っていることを伝えてみましょう。
睡眠やお薬について気になることがあれば、 こはく堂薬局の薬剤師にも お気軽にご相談ください。
病院に行って、どのように伝えたらわからない場合、 薬局にご相談ください。 話の要点をまとめて、先生にお手紙を書くこともお手伝いいたします。
関連ページ
不眠症のセルフケア 日常生活で取り入れられる工夫を紹介しています。 → 不眠症について 不眠症の症状・原因・治療について解説しています。 → 睡眠薬の種類と安全な使い方 薬の特徴や注意点を紹介しています。 →不眠症のセルフケア⑦|心地よい寝室環境をつくる
心地よい寝室環境をつくる| 季節や暮らしに合わせた工夫
「暑くて夜中に目が覚める」
「冬は寒くて眠れない」
「家族の生活音や明かりが気になる」
そんなことはありませんか?
眠りやすさには、 部屋の温度や湿度、明るさ、音、 寝具などが関係しています。
でも、寝室をすべて理想どおりに 整える必要はありません。
今の住まいでできそうな工夫を、 一つずつ試してみましょう。
1.寝室は「暑すぎず、寒すぎず」
暑さや寒さで寝苦しいと、 寝つきが悪くなったり、 途中で目が覚めたりすることがあります。
心地よいと感じる温度は、 季節、寝具、着ているもの、 年齢や体調などによって異なります。
そのため、 「寝室は必ず何℃にする」 と決める必要はありません。
まず確認したいこと
- 暑さや寒さで目が覚めていないか
- 寝汗をかいたり、体が冷えたりしていないか
- 寝具や寝間着が季節に合っているか
- 冷暖房を我慢しすぎていないか
2.夏の寝室|暑さを我慢しない
夏は、室温や湿度が高くなることで 寝苦しくなる場合があります。
特に高齢の方は、 暑さを感じにくくなることがあり、 室内でも熱中症に注意が必要です。
夏に試したい工夫
- エアコンなどを使い、寝室の暑さを調整する
- 湿度が高いときは除湿も活用する
- 通気性のよい寝間着や寝具を選ぶ
- 日中はカーテンなどで強い日差しを遮る
- 扇風機などで空気を循環させる
「エアコンは体によくないから」と、 暑い部屋で我慢する必要はありません。
冷えすぎる場合は、 設定温度や風向き、寝具を調整しましょう。
熱中症予防も大切です
夜間も熱中症は起こります。
室温だけでなく湿度や暑さ指数、 本人の体調も確認しましょう。
水分制限の指示がない方は、 日中から適切な水分補給を心がけてください。
心不全や腎臓病などで水分量の指示がある方は、 医師の指示を優先しましょう。
3.冬の寝室|寒さと温度差に注意
冬は寝室が冷え込み、 寒さで寝つきにくくなったり、 途中で目が覚めたりすることがあります。
また、暖かい布団から出たとき、 冷えた廊下やトイレとの温度差が 体に負担をかける場合があります。
冬に試したい工夫
- 必要に応じて暖房を使う
- 寝室やトイレへの通路が冷えすぎないようにする
- 季節に合った寝具を使う
- 寝間着で体温を調整する
- 乾燥が気になる場合は湿度も確認する
電気毛布や湯たんぽを使う方へ
長時間、同じ場所に熱が加わると、 低温やけどを起こすことがあります。
特に、皮膚の感覚が鈍くなっている方や、 自分で体勢を変えることが難しい方は注意が必要です。
製品の説明書に従って安全に使用し、 湯たんぽなどが直接皮膚に 長時間触れないようにしましょう。
4.湿度や空気の状態も確認
湿度が高すぎると蒸し暑く感じたり、 湿度が低すぎると のどや鼻の乾燥が気になったりすることがあります。
一般的な室内環境では、 湿度40~60%程度が一つの管理目安として 用いられることがあります。
ただし、この範囲にすれば必ず眠りがよくなる、 という意味ではありません。
取り入れやすい工夫
- 湿気が多い日は除湿を検討する
- 乾燥が強い場合は適切に加湿する
- 天候や屋外の状況に合わせて換気する
- 寝具を清潔に保つ
- 加湿器を使う場合はこまめに清掃する
結露やカビが発生している場合は、 加湿しすぎないように注意しましょう。
5.寝室の明かりを工夫する
夜に強い光を浴びると、 眠気や体内時計に影響することがあります。
寝室では、 まぶしい照明や外から入る光を 調整してみましょう。
こんな方法があります
- 寝る前は照明を少し暗めにする
- 街灯などがまぶしい場合はカーテンを工夫する
- 充電器や家電の強い表示灯を見直す
- 朝は自然の光を取り入れる
真っ暗にしなくても大丈夫?
暗めの寝室は睡眠環境を整えるうえで 役立ちますが、 完全な暗闇を目指す必要はありません。
特に夜間にトイレへ行く方は、 安全に歩ける明かりを確保することが大切です。
足元灯などを使い、 まぶしさを抑えながら、 通路を見渡せるようにしましょう。
6.音が気になるときの工夫
車の音、テレビ、家族の生活音などが 眠りを妨げる場合があります。
一方、完全に静かな環境を つくることが難しい家庭もあります。
まずは、減らせる音から 工夫してみましょう。
試してみたい工夫
- 夜間のテレビや通知音を小さくする
- 窓やドアを閉めるなど音の入り方を調整する
- 寝室の配置を見直す
- 家族と、夜間の音について相談する
耳栓を使ってもいい?
耳栓で周囲の音が気になりにくくなる方もいます。
ただし、アラームや家族の呼びかけなど、 必要な音にも気づきにくくなる場合があります。
難聴がある方や、 介護・育児などで夜間に 周囲の音を聞く必要がある方は、 使用方法を慎重に考えましょう。
7.寝具は、心地よさと寝返りのしやすさを大切に
枕やマットレス、布団などの寝具も、 眠りやすさに関係することがあります。
ただし、高価な寝具を購入すれば、 不眠症が改善するとは限りません。
寝具を見直すポイント
- 首や肩、腰に痛みが出ていないか
- 寝返りがしにくくないか
- 暑すぎたり寒すぎたりしないか
- 寝具が重すぎないか
- 起き上がりやすい高さか
体格や持病、寝姿勢によって、 心地よい寝具は異なります。
新しい寝具を購入する前に、 枕の高さや掛け布団、 室温などを少し調整してみるのも 一つの方法です。
痛みや息苦しさがある場合
寝具だけで解決しようとせず、 症状の原因も確認しましょう。
横になると息苦しくなる、 夜間に呼吸が苦しくて目が覚めるなどの場合は、 心臓や呼吸器の病気が関係している可能性があります。
症状がある場合は医療機関に相談してください。 強い息苦しさなどがある場合は、 速やかな医療対応が必要です。
8.家族と同じ部屋で眠る場合は?
家族と寝室を共有している場合、 照明や温度、音の好みが 異なることがあります。
また、小さなお子さんのいる家庭や 介護が必要な家庭では、 夜中に起きることもあるでしょう。
すべてを一人の希望に合わせることは 難しい場合があります。
例えば、こんな工夫
- 照明を部屋全体ではなく手元だけにする
- 掛け布団や寝間着で温度を調整する
- 家族と寝る時間や音について話し合う
- 可能なら寝床の位置を調整する
- 生活事情に合わせて無理のない方法を選ぶ
お互いの生活を尊重しながら、 少しでも休みやすい環境を探してみましょう。
9.高齢者の寝室は、安全性も大切
眠りやすさに加えて、 夜間の転倒を防ぐ工夫も重要です。
特に、睡眠薬を使用している方、 夜間にトイレへ行くことが多い方、 足腰に不安がある方は注意しましょう。
寝室の安全チェック
- ベッドからトイレまでの通路に物を置かない
- 足元を照らす明かりを設ける
- 滑りやすいマットやコードを整理する
- 起き上がりやすい寝具やベッドを選ぶ
- 手の届く場所に必要なものを置く
夜中に起きるときは、 急に立ち上がらず、 ふらつきがないか確認しましょう。
睡眠薬による眠気やふらつきが気になる場合は、 自己判断で服用量を変更せず、 医師や薬剤師に相談してください。
10.全部を変えず、一つずつ試してみましょう
寝室を完璧に整えようとすると、 かえって眠ることが負担になる場合があります。
まずは、今いちばん気になっていることを 一つ選んでみましょう。
今日からできること
- 暑い日は冷房や除湿を見直す
- 寒い日は寝室を冷やしすぎない
- 寝る前の照明を少し暗くする
- 気になる音を一つ減らす
- 枕や布団の状態を確認する
- 夜間の通路を片づける
無理に大きな買い物をする必要はありません。
今の暮らしの中で、 できる範囲から整えていきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q.エアコンをつけたまま寝ても大丈夫?
暑さや寒さを我慢するより、 適切に冷暖房を使うことが大切です。
特に夏は、夜間の熱中症予防にも注意が必要です。
冷えすぎや乾燥が気になる場合は、 設定温度、風向き、寝具などを調整しましょう。
Q.寝室は何℃にすればよいですか?
すべての人に適した一定の温度はありません。
季節、湿度、寝間着、寝具、 年齢や体調などによって快適な温度は変わります。
暑さや寒さで目が覚めないかを確認しながら、 無理のない範囲で調整しましょう。
Q.真っ暗にしないと眠りの質は悪くなりますか?
完全な暗闇が必要というわけではありません。
夜は強い光を避け、 できるだけ落ち着いた明るさにすることが 勧められます。
一方、夜間に移動する方は、 安全のために足元灯などを利用しましょう。
Q.家族のいびきが気になって眠れません。
生活音への対策に加えて、 いびきの原因を確認することも大切です。
いびきが大きい、 呼吸が止まっているように見える、 日中に強い眠気がある場合は、 睡眠時無呼吸症候群などの可能性があります。
寝る場所の工夫だけでなく、 医療機関での相談も検討しましょう。
Q.高い枕やマットレスを買えば眠れますか?
高価な寝具で不眠症が改善するとは限りません。
寝返りのしやすさや、 首・肩・腰に負担がないかなど、 自分に合っているかを確認しましょう。
眠れない状態が続く場合は、 寝具以外の原因も考える必要があります。
Q.子どもや家族と一緒に寝ているので、静かにできません。
理想的な環境をすべて整えられなくても大丈夫です。
手元の照明を使う、 生活音を少し減らす、 寝具を調整するなど、 家庭の状況に合った方法を探しましょう。
育児や介護による睡眠不足が続いている場合は、 周囲の協力や支援も大切です。
寝室を整えても眠れないときは
寝室環境を整えることは、 良い睡眠のための工夫の一つです。
しかし、不眠の原因は 生活環境だけとは限りません。
ストレス、痛み、頻尿、 睡眠時無呼吸症候群、 薬の影響などが関係している場合もあります。
眠れない状態が続き、 日中の生活に支障がある場合は、 医療機関に相談しましょう。
不眠症では、 認知行動療法(CBT-I)などの 専門的な治療が必要になることもあります。
まとめ|心地よさと安全を大切に
- 室温や湿度は、季節と体調に合わせて調整する
- 夏は暑さを我慢せず、熱中症にも注意する
- 夜は強い光や気になる音を減らす
- 寝具は価格より心地よさと使いやすさを重視する
- 高齢者は夜間の転倒予防も大切にする
- 家庭の状況に合わせ、できることから取り入れる
寝室は、完璧でなくても大丈夫です。
自分や家族が少しでも 安心して休める環境を整えていきましょう。
睡眠やお薬について気になることがあれば、 こはく堂薬局の薬剤師に お気軽にご相談ください。





