ブログ

2026-09-29 17:30:00

子どもの鼻水|家庭での「鼻すい」はした方がいい?

子どもの鼻水|家庭での「鼻すい」はした方がいい?

小さな子どもは、鼻水や鼻づまりがあると、 ミルクや母乳を飲みにくくなったり、 眠りにくくなったりすることがあります。

そんなとき、家庭で鼻水を吸う「鼻すい」が 役立つことがあります。

鼻すいは、かぜを早く治すための治療ではありません。

鼻づまりで「飲みにくい」「眠りにくい」「苦しそう」といったときに、 つらさを一時的に和らげるためのケアと考えるとよいでしょう。

鼻水は、全部取らなくても大丈夫

鼻水が出ていると、 「できるだけ全部取ってあげた方がよいのでは?」 と思うかもしれません。

しかし、鼻水があるたびに必ず吸う必要はありません。

細気管支炎の診療ガイドラインでも、 鼻の吸引をすべての子どもにルーティン的に日常的に行うのではなく、 鼻の分泌物によって呼吸や哺乳が妨げられている場合に検討する という考え方が示されています。

「鼻水があるから吸う」ではなく、
「鼻づまりで困っているときに、少し楽にする」

これが家庭での鼻すいの基本です。

こんなときに鼻すいを

  • 鼻づまりで母乳やミルクが飲みにくそう
  • 食事がしにくそう
  • 鼻づまりで眠りにくそう
  • 鼻水が多く、息がしづらそう

特に、鼻づまりで飲みにくそうな場合は、 授乳や食事の前に鼻水を取ってあげると、 飲みやすくなることがあります。

「○時間ごとに吸う」と決める必要はありません。 子どもの様子をみながら行いましょう。

手動と電動、どちらがいい?

家庭用の鼻吸い器には、 手動タイプや電動タイプなどがあります。

現時点では、 「電動を使えば病気が早く治る」といえる根拠はありません。

手動タイプ 電動タイプ
特徴 自分で吸引を調節する 機器によって吸引する
使いやすい場面 少量の鼻水を取りたいとき
時々使いたいとき
鼻水が多いとき
繰り返し使いたいとき
よいところ 手軽で持ち運びやすいものが多い 一定の吸引をしやすい
注意点 製品や方法によって吸引のしやすさが異なる 強く、長く吸えばよいわけではない

電動=治療効果が高い、というわけではありません。

細気管支炎の乳児367人を対象にした研究では、 手動のバルブ式吸引と、より強力な電池式吸引器が比較されました。

電池式の方が使用した保護者の機器への満足度は高かったものの、 72時間後の哺乳や睡眠、医療機関への予定外の再受診などには、 明確な差はみられませんでした。

この研究からも、 吸引力を強くすることが病気そのものの経過を変えるとは いえないことがわかります。

そのため、家庭では 「どちらが強いか」よりも、 子どもやご家庭にとって使いやすいもの を選ぶとよいでしょう。

強く・長く吸いすぎない

鼻水が残っていると、 全部取れるまで吸いたくなるかもしれません。

しかし、 「たくさん取ること」が鼻すいの目的ではありません。

鼻の粘膜はデリケートです。 強い吸引を繰り返したり、 鼻の奥まで無理に器具を入れたりすると、 粘膜を傷つけ、鼻血などの原因になることがあります。

鼻の入口付近の鼻水をやさしく取り、
少し呼吸や授乳がしやすくなれば十分です。

嫌がって激しく泣く場合は、 無理に続けないようにしましょう。

鼻水が固くて取りにくいときは?

鼻水が固く、吸ってもなかなか取れないことがあります。

そのような場合には、 生理食塩水などで鼻水をやわらかくしてから吸う方法 もあります。

ただし、生理食塩水を毎回必ず使用しなければならないわけではありません。 鼻づまりの程度や鼻水の状態をみながら使いましょう。

また、入浴後などは鼻水が出やすくなることがあります。 無理に吸うのではなく、 鼻水が出てきたタイミングでやさしく取ってあげるのも一つの方法です。

鼻すいだけで様子をみない方がよいとき

鼻水が多くても、 元気があり、水分がとれている場合には、 家庭で様子をみられることも多くあります。

一方で、次のような様子がある場合は、 「鼻がつまっているだけ」と考えず、 医療機関への相談を考えましょう。

  • 呼吸が速い、苦しそう
  • 息をすると胸やみぞおちがペコペコへこむ
  • 顔色や唇の色が悪い
  • 母乳・ミルク・水分が十分にとれない
  • おしっこが明らかに少ない
  • ぐったりしている、反応がいつもと違う
  • 呼吸が止まるように見える

特に乳児では、 鼻水の量だけではなく、 「呼吸」「飲めているか」「元気があるか」 を一緒にみることが大切です。

まとめ

  • 鼻すいは、かぜを治すための治療ではありません
  • 鼻づまりによるつらさを一時的に和らげるためのケアです
  • 鼻水があるたびに吸う必要はありません
  • 授乳や睡眠などに困っているときに使いましょう
  • 手動・電動は、使いやすさに合わせて選びましょう
  • 強く・長く・奥まで吸いすぎないようにしましょう
  • 呼吸が苦しそう、水分がとれない、ぐったりしている場合は受診を考えましょう

鼻水や鼻づまりへの対応で迷う場合や、 市販の鼻吸い器の使い方がわからない場合は、 薬剤師や医療機関へ相談してください。

参考文献

1.NICE. Bronchiolitis in children: diagnosis and management (NG9).
上気道吸引はルーチンには行わず、 上気道分泌物によって呼吸困難や哺乳困難がある場合に 考慮するとしています。
NICEガイドラインを見る

2.Schuh S, et al. Nasal Suctioning Therapy Among Infants With Bronchiolitis Discharged Home From the Emergency Department: A Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open. 2023;6(10):e2337810.
細気管支炎の1~11か月児を対象に、 バルブ式吸引と電池式吸引を比較したランダム化比較試験です。
論文を見る

※研究対象は細気管支炎の乳児であり、 一般的な子どものかぜすべてについて 手動式と電動式の効果を比較した研究ではありません。