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2026-11-05 15:00:00

血糖を整える運動の選び方|歩く・筋肉を鍛える・食後に動く

血糖を整えるために、できる運動から始めてみませんか?

糖尿病の治療では、食事やお薬とともに、 体を動かすことも大切です。

「運動しなければ」と思っていても、 何をすればよいかわからない方もいるかもしれません。

実は、ウォーキングだけでなく、 筋肉を鍛える運動や、食後に少し体を動かすことも 血糖コントロールに役立ちます。

大切なのは、 自分の体力や生活に合った運動を見つけ、 無理なく続けること です。

糖尿病に効果的な運動は?

糖尿病の運動療法では、 有酸素運動と筋力トレーニングの両方が有効です。

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、 2型糖尿病の血糖コントロールに対して、 これらの運動が推奨されています。

それぞれの運動には異なる特徴があるため、 可能であれば組み合わせて行うことが勧められます。

① 有酸素運動|歩く・自転車に乗る

全身の筋肉をリズミカルに動かす運動です。 筋肉でブドウ糖が利用されやすくなり、 血糖コントロールの改善につながります。

心肺機能の向上や、心臓・血管の健康を保つことにも 役立ちます。

たとえば…
  • ウォーキング・少し速めの散歩
  • 自転車・エアロバイク
  • 踏み台昇降
  • 水中ウォーキング

始め方の例: まずは1日10分程度のウォーキングから。 慣れてきたら少しずつ時間を増やしましょう。

② 筋力トレーニング|筋肉を使って鍛える

筋肉に負荷をかけて動かす運動です。 血糖コントロールの改善に加え、 筋肉量や筋力を維持する効果が期待できます。

筋肉は、血液中のブドウ糖を取り込んで利用する 重要な場所です。 筋肉を維持することは、糖尿病の管理だけでなく、 日常生活の動作を保つことにも役立ちます。

たとえば…
  • 椅子からゆっくり立つ・座る
  • 軽いスクワット
  • ゴムチューブを使った運動
  • 軽いダンベル運動

始め方の例: 椅子からの立ち上がりを5回程度から。 無理のない回数で、週2〜3回を目安に行いましょう。

息を止めず、自然な呼吸で行うことが大切です。

③ 食後の運動|食べたあとに少し動く

食事をすると、食べ物から吸収された糖によって 血糖値が上がります。

食後に筋肉を動かすことで、 血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれ、 食後血糖の上昇を抑える効果が期待できます。

たとえば…
  • 食後に10〜15分程度歩く
  • 食器を片づける
  • 家の中を少し歩く
  • 無理のない家事をする

始め方の例: 食後に座りっぱなしになる時間の一部を、 軽く体を動かす時間に変えてみましょう。

食後の短時間の歩行でも、 食後血糖を改善する効果が研究で示されています。

※食後の10〜15分は取り組みやすい例です。 運動に適した時間帯は、血糖の状態や使用中のお薬によって 異なるため、個別に調整してください。

どれか1つだけでもよいの?

有酸素運動と筋力トレーニングは、 それぞれ血糖コントロールを改善する効果があります。

可能であれば両方を組み合わせることが勧められますが、 最初からすべてを行う必要はありません。

まずは、今の生活に取り入れやすい運動から 始めてみましょう。

座りっぱなしの時間も減らしてみましょう

まとまった運動だけでなく、 日常生活で座っている時間を減らすことも大切です。

長時間座り続けるときは、 30分程度を目安に一度立ち上がり、 少し歩くなどの軽い活動を取り入れてみましょう。

テレビを見ているときや、 デスクワークの合間にも取り入れられます。

今日からできる小さな運動の工夫

運動習慣がない方は、 少し体を動かすところから始めてみましょう。

STEP 1
まずは立つ・歩く

座る時間を少し減らして、 家の中や近所を歩いてみましょう。

STEP 2
食後に少し動く

食器の片づけや短い散歩など、 生活の中で体を動かしましょう。

STEP 3
筋肉も使う

椅子からの立ち上がりなど、 できる筋力運動を加えてみましょう。

運動はどのくらい行えばよい?

有酸素運動

  • 週150分以上が目標のひとつ
  • 週3日以上に分けて行う
  • できれば2日以上続けて休まない
  • 会話ができる程度の中等度の運動を目安にする

筋力トレーニング

  • 週2〜3回程度
  • 連続しない日に行う
  • 体力に合わせて負荷や回数を調整する

たとえば、30分のウォーキングを週5日行うと、 合計150分になります。

ただし、これは一般的な目標です。 運動習慣がない方は、短時間の軽い運動から始め、 徐々に増やしていきましょう。

安全に運動するために

糖尿病では、お薬や合併症の状態によって、 運動時に注意が必要な場合があります。

① 低血糖に注意しましょう

インスリン注射や、一部の血糖を下げるお薬を 使用している場合、運動によって 低血糖が起こることがあります。

特に注意が必要なものには、 インスリン、SU薬(スルホニル尿素薬)、 グリニド薬などがあります。

  • 運動前後の血糖値を確認する
  • 必要に応じて補食を準備する
  • 低血糖に対処できるようブドウ糖などを携帯する
  • 運動量が増える場合は医療者に相談する

冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、 ぼんやりするなどの症状が出た場合は、 運動を中止し、低血糖への対応を行いましょう。

意識が低下している場合は、 無理に飲食させず救急対応が必要です。

インスリンやお薬の量を自己判断で変更しないでください。

② 合併症がある場合は運動を調整しましょう

  • 網膜症: 進行した網膜症では、強い力みを伴う運動や 高強度運動が適さない場合があります。
  • 神経障害: 足の感覚が鈍い場合は、靴ずれや傷、 転倒などに注意しましょう。
  • 足の潰瘍: 足に傷がある場合は、歩行などの負荷を 制限する必要があることがあります。
  • 心臓や腎臓の病気: 病状に応じた運動の種類や強度を、 主治医と相談して決めましょう。

③ 体調が悪いときは無理をしない

発熱、脱水、強い疲労があるときは、 無理に運動する必要はありません。

著しい高血糖やケトン体の増加がある場合は、 運動によって状態が悪化する可能性があります。 医師に相談してください。

胸痛、強い息切れ、めまいなどが起きた場合は すぐに運動を中止しましょう。 強い症状が続く場合は救急受診が必要です。

よくある質問

Q. ウォーキングだけでも血糖は改善しますか?

はい。ウォーキングなどの有酸素運動には、 血糖コントロールを改善する効果があります。

筋力トレーニングを組み合わせると、 筋力や筋肉量の維持にも役立ちます。

Q. 筋力トレーニングだけでもよいですか?

筋力トレーニングにも、 血糖コントロールを改善する効果があります。

可能であれば、有酸素運動も取り入れることで、 心肺機能や筋力などを幅広く改善することが期待できます。

Q. 食後すぐに運動したほうがよいですか?

食後に軽く歩くことは、 食後血糖の上昇を抑えることに役立ちます。

ただし、食後すぐに激しい運動をする必要はありません。 体調や消化器症状などにも配慮しましょう。

低血糖を起こしやすいお薬を使用している方は、 運動する時間帯について医療者に相談してください。

Q. 10分程度の運動でも意味がありますか?

短い時間でも、体を動かすことには意味があります。

運動習慣がない方は、 まずは10分程度から始めてみましょう。 慣れてきたら少しずつ増やすことが大切です。

Q. 高齢者でも筋力トレーニングは必要ですか?

高齢者にとっても筋力トレーニングは大切です。

糖尿病の血糖コントロールだけでなく、 筋力や日常生活の動作を維持することにも役立ちます。

ふらつきや転倒に注意し、 必要に応じてバランス運動も組み合わせましょう。

Q. 運動すれば糖尿病の薬を減らせますか?

運動を継続することで、血糖コントロールが 改善する場合があります。

ただし、薬を減らせるかどうかは、 血糖値やHbA1c、病気の状態などによって異なります。

自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、 医師と相談して治療を続けましょう。

まとめ

血糖を整える運動は、 ウォーキングだけではありません。

  • 歩く・自転車に乗るなどの有酸素運動
  • 筋肉を使って鍛える筋力トレーニング
  • 食後に少し歩く・体を動かす習慣

これらを生活に合わせて取り入れることで、 血糖コントロールや体力の維持に役立ちます。

すべてを一度に始める必要はありません。 今日できそうなことを、ひとつ選んでみましょう。

お薬や合併症のために運動に不安がある場合は、 医師や薬剤師へ相談してください。

参考資料
  1. 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024.第4章 運動療法. 学会公式ページ
  2. American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026. Section 5: Physical Activity. ガイドライン
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 糖尿病を改善するための運動. 公式解説
  4. 糖尿病情報センター. 糖尿病の運動のはなし. 患者向け解説

※主に成人の2型糖尿病を対象とした一般的な運動療法を 紹介しています。 1型糖尿病や合併症がある方では、 個別の調整が必要です。 運動制限や治療方針については主治医の指示を優先してください。