ブログ
心房細動の薬
心房細動の薬について
脳梗塞を防ぐ薬と、脈を整える薬
心房細動の薬には、大きく分けて次の3つの目的があります。
- 血栓による脳梗塞を防ぐ
- 速すぎる脈を抑える
- 心臓のリズムを整える
それぞれ役割が異なるため、複数の薬を組み合わせて使うこともあります。
① 脳梗塞を防ぐ薬「抗凝固薬」
心房細動では、心臓の中で血液がよどみ、血のかたまり「血栓」ができることがあります。
抗凝固薬は、血液を固まりにくくして、この血栓による脳梗塞などを防ぐ薬です。
動悸を止める薬ではありません。症状がなくても、脳梗塞を防ぐために必要な場合があります。
どんな人に必要ですか?
年齢、高血圧、心不全、糖尿病、脳梗塞の経験などから、脳梗塞の危険性を評価します。
出血の危険性や腎臓の働きなども考慮して、薬を使うかどうか、どの薬をどの量で使うかを医師が判断します。
抗凝固薬の種類
| 種類 | 主な薬・代表的な商品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| DOAC 直接経口抗凝固薬 |
ダビガトラン:プラザキサ リバーロキサバン:イグザレルト アピキサバン:エリキュース エドキサバン:リクシアナ |
薬によって1日1回または2回服用します。腎臓の働き、年齢、体重、併用薬などに応じて選択・用量調整を行います。 |
| ワルファリン | ワーファリンなど | 血液検査「PT-INR」で効き具合を確認し、飲む量を調整します。食べ物や併用薬の影響を受けます。 |
薬によって使える条件が異なります。機械弁が入っている方など、DOACが適さず、ワルファリンを使う場合もあります。
DOACでも、定期的な検査は必要です
DOACは、ワルファリンのようにPT-INRで効き具合を調整する薬ではありません。
ただし、腎臓の働きや貧血などを確認するための血液検査は必要です。「検査がいらない薬」ではありません。
ワルファリンと食べ物の注意点
ワルファリン服用中は、薬の働きを弱める納豆・青汁・クロレラを避けてください。薬と食べる時間をずらしても、影響を避けられるわけではありません。
野菜をすべて避ける必要はありません。ただし、緑の葉物野菜を急に大量に食べ続けるなど、食事を大きく変えるときは相談してください。
DOACには、ワルファリンと同じ理由で納豆などを避ける制限はありません。ご自身の薬がどの種類か、確認しておきましょう。
抗凝固薬を安全に使うために
体調がよくても、自己判断で中止しない
抗凝固薬は、症状を感じない間も血栓を防ぐために働いています。
動悸が治まったり、アブレーションで脈が整ったりしても、薬が不要になったとは限りません。中止や減量は、医師の指示を確認してください。
飲み忘れたときの対応を確認する
飲み忘れたときの対応は、薬の種類や次の服用までの時間によって異なります。
自己判断で2回分をまとめて飲まないでください。あらかじめ対応を確認し、わからない場合は薬剤師に相談してください。
市販薬やサプリメントを買うときに伝える
一部の痛み止めなどは、併用すると出血の危険性が高まることがあります。
市販薬、漢方薬、サプリメントを使う前に、お薬手帳を見せて相談してください。ほかの医療機関を受診するときも、抗凝固薬を飲んでいることを伝えましょう。
抜歯・手術・検査の前に伝える
抜歯、手術、内視鏡検査などを受ける場合は、事前に医師・歯科医師へ伝えてください。
処置によっては薬を続けたまま行える場合もあります。ご自身の判断で休薬せず、中止と再開の指示を確認してください。
出血や貧血のサインに注意する
次の症状がある場合は、速やかに医療機関へ連絡してください
- 出血が止まりにくい、鼻血などを繰り返す
- 尿に血が混じる
- 血便や、タールのように黒い便が出る
- 血を吐く、吐いたものに血が混じる
- 顔色が悪い、強いだるさや息切れがある
大量の出血、意識の異常、強い息苦しさなどがある場合は、119番へ連絡してください。
転倒などで頭を強く打った場合も、外から出血が見えなくても、速やかに医療機関へ相談してください。突然の強い頭痛、嘔吐、意識の異常がある場合は119番へ連絡してください。
② 速すぎる脈を抑える薬
心房細動で脈が速くなると、動悸や息切れが出たり、心臓への負担が大きくなったりすることがあります。
β遮断薬などを使って、速すぎる脈を抑えます。状態に応じて、ベラパミル、ジルチアゼム、ジゴキシンなどを使うこともあります。
心房細動が続いていても、脈の速さを調整することで、症状や心臓への負担を軽減する治療です。
服用中に気をつけたいこと
薬によっては、脈が遅くなりすぎたり、血圧が下がったりすることがあります。
- めまい・ふらつきが増えた
- 強いだるさがある
- 脈が普段よりかなり遅く、体調も悪い
このような場合は、医師や薬剤師に相談してください。失神や意識の異常がある場合は、119番へ連絡してください。
心臓の働きや持病によって、使える薬が異なります。ほかの方と同じ薬になるとは限りません。
③ 心臓のリズムを整える薬
抗不整脈薬を使って、心房細動を止めたり、再発を抑えたりします。
心臓の働き、ほかの心臓病の有無、腎臓や肝臓の働きなどを考慮して薬を選びます。
定期的な検査を受けながら使います
薬によっては、脈が遅くなる、別の不整脈が起こるなどの副作用に注意が必要です。種類によっては、肺、肝臓、甲状腺などへの影響も確認します。
心電図や血液検査などを受けながら、安全性と効果を確認します。新しい症状が出た場合は、診察時に伝えてください。
発作時の薬も、指示された方法で
一部の方には、発作時に飲む薬が処方されることがあります。
飲む条件、1回の量、効かなかったときの対応を確認し、自己判断で追加しないでください。
よくある疑問
症状がないのに、なぜ薬が必要なのですか?
動悸などがなくても、心臓の中に血栓ができる危険性があるためです。抗凝固薬が必要かどうかは、症状の強さではなく、脳梗塞の危険性などから判断します。
アブレーションを受けたら、薬はやめられますか?
薬を減らせる場合もありますが、必ずやめられるわけではありません。特に抗凝固薬は、脳梗塞の危険性などに応じて継続が必要な場合があります。
出血が心配なので、薬を減らしてもよいですか?
自己判断で減らすと、脳梗塞を防ぐ効果が不十分になるおそれがあります。出血の症状や不安がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
出血の原因や薬の量、併用薬などを確認し、必要に応じて治療を見直します。
薬局で一緒に確認できます
「どの薬が脳梗塞を防ぐ薬なのか」「飲み忘れたときはどうするのか」など、わからないことがあれば薬剤師に相談してください。
お薬手帳を持参すると、市販薬やサプリメントを含めた飲み合わせも確認しやすくなります。





