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脂質異常症のセルフケア|脂質を改善する運動の選び方
コレステロールや中性脂肪が気になる方へ
健康診断で「コレステロールが高い」 「中性脂肪が高い」と言われたことはありませんか?
脂質異常症の改善には、食事やお薬だけでなく、 運動も大切な役割を果たします。
ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、 筋肉を鍛える運動も健康づくりに役立ちます。
大切なのは、自分に合った運動を見つけ、 無理なく続けることです。
脂質異常症には、どんな運動が効果的?
脂質異常症の運動療法では、 ウォーキングなどの有酸素運動が基本となります。
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、 有酸素運動が推奨されており、 筋力トレーニングも脂質の改善に役立つ運動として 提案されています。
運動は血液中の脂質を改善するだけでなく、 心肺機能や筋力を保つことにもつながります。
① 有酸素運動|歩く・自転車に乗る
大きな筋肉をリズミカルに動かす運動です。 体内でエネルギーが消費され、 脂質の代謝にも良い影響を与えます。
特に中性脂肪の低下や、 HDLコレステロールの改善が期待できます。
- ウォーキング・少し速めの散歩
- 自転車・エアロバイク
- 水中ウォーキング・水泳
- 踏み台昇降
始め方の例: まずは1日10分ほど歩くことから。 慣れてきたら少しずつ時間や回数を増やしましょう。
最初から速く歩く必要はありません。 体力がついてきたら、会話ができる程度の速さを 目指してみましょう。
② 筋力トレーニング|筋肉を使って鍛える
筋肉に負荷をかけて動かす運動です。 筋力や筋肉量の維持に役立ち、 脂質の改善にも一定の効果が期待できます。
特に高齢の方では、 筋力を保つことが歩行能力や 日常生活の動作を維持するうえでも大切です。
- 椅子からゆっくり立つ・座る
- 軽いスクワット
- ゴムチューブを使った運動
- 軽いダンベル運動
始め方の例: 椅子からの立ち上がりを5回程度から。 慣れてきたら回数を調整し、 週2〜3回を目安に取り入れましょう。
力を入れるときも息を止めず、 自然に呼吸しながら行いましょう。
③ 日常生活の活動|座る時間を減らす
運動のために特別な時間を確保することが 難しい方もいるかもしれません。
そのような場合は、普段の生活の中で 体を動かす機会を増やしてみましょう。
- 近くの買い物には歩いて行く
- 家事の合間に少し歩く
- 長時間座り続けないようにする
- 無理のない範囲で階段を使う
こうした小さな活動の積み重ねも、 健康づくりにつながります。
ただし、生活活動を少し増やすことと、 十分な運動量を確保することは同じではありません。 できる範囲で、徐々に活動量を増やしていきましょう。
LDL・中性脂肪・HDLでは効果が違う?
脂質異常症には、いくつかのタイプがあります。 運動による効果も、それぞれ少し異なります。
| 検査項目 | 運動によって期待できること |
|---|---|
| LDLコレステロール | 低下が期待できますが、 平均的な改善幅は比較的小さい傾向があります。 |
| 中性脂肪(TG) | 有酸素運動などで 低下する効果が期待できます。 |
| HDLコレステロール | 運動を続けることで、 上昇する効果が期待できます。 |
2025年に掲載されたメタ解析では、 148件のランダム化比較試験、 8,673人のデータが分析されました。
運動を行わない場合と比較して、 LDLコレステロールは平均約7mg/dL低下、 中性脂肪は平均約8mg/dL低下、 HDLコレステロールは平均約2mg/dL上昇しました。
※複数の種類の運動をまとめた研究結果です。 個々の患者さんで同じ数値の変化が起こるとは限りません。 研究結果の詳細は末尾の参考文献をご覧ください。
LDLコレステロールは、運動だけでは 十分に下がらないこともあります
運動は健康維持に役立ちますが、 LDLコレステロールを下げる効果には限界があります。
LDLコレステロールが高い場合は、 食事の見直しに加えて、 お薬による治療が必要になることもあります。
特に、すでに心筋梗塞などの病気を経験している方や、 LDLコレステロールが非常に高い方では、 適切な治療を続けることが大切です。
運動はどのくらい行えばよい?
日本動脈硬化学会では、 中強度以上の有酸素運動を 定期的に行うことが推奨されています。
有酸素運動
- 1日合計30分以上を目標にする
- 少なくとも週3日、可能なら毎日行う
- または週150分以上を目安にする
- 通常の歩行以上の強度がひとつの目安
筋力トレーニング
- 週2〜3回程度を目安にする
- 無理のない負荷から始める
- 休息日も設けながら続ける
30分続けて歩くことが難しい場合は、 10分ずつ3回に分ける方法もあります。
運動習慣がない方は、 まず短時間の軽い活動から始めましょう。
今日からできる、小さな運動の工夫
最初からすべてを頑張る必要はありません。 今の生活に取り入れやすいことを ひとつ選んでみましょう。
買い物や散歩など、 歩く機会を少し増やしましょう。
慣れてきたら、 歩く時間を少しずつ増やしましょう。
椅子からの立ち上がりなど、 筋力運動も加えてみましょう。
安全に運動するために
次のような場合は注意しましょう
- 心臓の病気や、運動制限がある場合は、 適切な運動量について医師に相談しましょう。
- 膝や腰に痛みがある方は、 痛みを我慢して運動を続けないようにしましょう。
- 暑い時期や長時間の運動では、 脱水に注意しましょう。
- 胸痛、強い息切れ、めまいなどが起きた場合は、 すぐに運動を中止しましょう。
強い胸痛や呼吸困難が続く場合は、 救急受診が必要です。
脂質異常症のお薬を飲んでいる方へ
一部の脂質異常症治療薬では、 筋肉の痛みや脱力などの副作用が 起こることがあります。
特に、普段と違う強い筋肉痛、 明らかな筋力低下、赤褐色の尿などがある場合は、 速やかに医療機関へ相談してください。
運動による筋肉痛と、 お薬の副作用を区別しにくいこともあります。 気になる症状があれば薬剤師へ相談してください。
自己判断でお薬を中止したり、 減量したりしないようにしましょう。
よくある質問
Q. ウォーキングだけでも効果はありますか?
はい。ウォーキングなどの有酸素運動は、 中性脂肪やHDLコレステロールの改善に役立ちます。
特別な道具がなくても始めやすいため、 運動習慣がない方にも取り入れやすい方法です。
Q. 筋力トレーニングだけでもよいですか?
筋力トレーニングにも、 脂質の改善や筋力維持などの効果が期待できます。
ただし、血液中の脂質を改善するためには、 有酸素運動を中心に行い、 可能であれば筋力トレーニングを 組み合わせることが勧められます。
Q. 運動は激しいほど効果がありますか?
必ずしも激しい運動が必要なわけではありません。
速歩などの中等度の運動でも、 脂質の改善が期待できます。
無理に激しい運動を行うと、 筋肉や関節、心臓などに負担がかかる場合があります。
自分の体力に合った強度で、 継続することが大切です。
Q. LDLコレステロールが高い場合、 運動だけで下げられますか?
運動によってLDLコレステロールが 下がることはありますが、 平均的な改善幅は比較的小さい傾向があります。
LDLコレステロールの値や、 心臓・血管の病気のリスクによっては、 食事療法や薬物療法も必要です。
自己判断でお薬を中止せず、 医師と相談しながら治療を続けましょう。
Q. 体重が減らなくても運動する意味はありますか?
はい。運動の効果は体重の変化だけでは 判断できません。
体重が大きく減らなくても、 心肺機能、筋力、血圧、血糖などに 良い影響が期待できます。
体重だけにこだわらず、 続けられる運動習慣をつくることが大切です。
Q. 運動すれば脂質異常症の薬を減らせますか?
運動や食事の見直しによって、 脂質の値が改善する場合があります。
ただし、お薬を減らせるかどうかは、 LDLコレステロールの値だけでなく、 心筋梗塞や脳梗塞などのリスクによっても異なります。
自己判断でお薬を減らしたり中止したりせず、 医師に相談してください。
まとめ
脂質異常症の運動療法では、 有酸素運動を中心に取り入れましょう。
- ウォーキングなどの有酸素運動を続ける
- 筋力トレーニングも組み合わせる
- 日常生活で座る時間を減らす
- 無理なくできることから始める
運動は中性脂肪やHDLコレステロールの改善に役立ち、 LDLコレステロールの低下も期待できます。
ただし、必要な薬物療法の代わりにはなりません。 食事やお薬とあわせて、 自分に合った運動習慣を続けましょう。
運動やお薬について気になることがあれば、 医師や薬剤師に相談してください。
- 日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. 第2章・運動療法. 日本動脈硬化学会
- 日本動脈硬化学会. 脂質異常症診療のQ&A. 学会公式解説
- The Effect of Exercise Training on Blood Lipids: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine. 2025. 原著論文 / 全文・PDF
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 脂質異常症を改善するための運動. 公式解説
※本記事は一般的な健康情報を提供するものです。 心血管疾患や運動制限がある方は、 主治医の指示を優先してください。





