2017/10/01 09:00

処方せん調剤/ジェネリック医薬品

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 ジェネリック医薬品(後発医薬品)のこと、どこかで耳にされた方も多いのではないでしょうか?

 ジェネリック医薬品は、研究開発費が低く抑えられることから、先発医薬品よりも薬価が安くできるため、後発医薬品の普及は、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に有用であるため、国策として進められています。薬剤師は、ジェネリック医薬品について、製品の信頼性はもちろん、流通の確保などを考慮した上で、取り組んでいます。

 ジェネリック医薬品について、メリットと注意点を正しく知ったうえで、賢く活用しましょう。

 

ジェネリック医薬品とは?

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 ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許期間 (20~25年) 終了後、同じ有効成分を使って、同じ効き目・安全性となるように作られたお薬です。 そのため、先発医薬品と比べて開発費を大幅に削減できるため、価格を安く抑えられます。患者さんご自身の医療費の個人負担金や、国の医療費予算を低減できることが期待されています。 また、市販後も一定期間が経過しているため、その間に、その有効成分については、新薬と比較して十分な使用経験が得られているといえます。

 

同じところ、違うところ 

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 先発医薬品とジェネリック医薬品は、有効成分とその含有量は全く同じですが、添加物は違いが認められています。 臨床上の有効性(効き目)や安全性については、「生物学的同等性試験」により同等であるか厳格に審査されています。 添加物とは、有効成分を「お薬」として使えるようにするため(手に取れるように成形するため、胃や腸で溶けるように調節するため、など)に加えられている物質で、それ自身は、有効成分の効き目安全性に影響がないと認められた物質を使用しています。​製剤技術の進歩により、製剤面で改良されたジェネリック医薬品も開発されています。 一方、添加物が異なるため、添加物が原因となる副作用は、先発品とジェネリック医薬品とで違います。その他に添加物が異なることで、以下の点が異なる可能性があります。もちろん、ジェネリック医薬品のほうが、製剤技術が改善されており優れているという場合もあります。

 

​<先発医薬品とジェネリック医薬品とで異なる可能性がある点の例>  

・内用薬(飲み薬):見た目(色、形、大きさ)、味、匂い、溶けやすさ、硬さ  

・外用薬:使用感(刺激感、しみる、はりごごち など)    

   湿布:粘着力、かぶれやすさ    

   軟膏・クリーム(塗り薬):柔らかさ、塗った時の感覚(刺激感 など)    

   注射剤:他の薬と混合した時の安定性                               など

 

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◯ まとめ ◯

ジェネリック医薬品がない場合もあります

 医薬品の特許期限が切れていない場合や先発医薬品の再審査期間中は、ジェネリック医薬品は発売されません。

 

 

同じ成分のジェネリック医薬品は複数あります  

 一つの有効成分について、複数のジェネリック医薬品が認可されています。同じ有効成分のジェネリック医薬品でも、発売開始時期の違い等から、価格が異なるものもあります。

 

 

病気や体質によって使えない場合があります  

 先発医薬品とジェネリック医薬品では、適応症が異なる場合があります(保険適用上の問題)。また、添加物も副作用の原因となりうるため、使用の可否が異なることがありあす。  

例えば、添加物に注意すべき場合には、以下のようなものがあります。  

・アスピリン喘息→着色料(黄色4号、赤色2号、赤色102号など、アスピリン喘息既往者に症状を誘発するものがあるため) 

・ゼラチンアレルギー→カプセルなど(ゼラチンが原料の場合があるため)  

・アルコール過敏症→アルコール(吸入薬など有効成分の溶解性改善のためアルコールを含む製剤があるため) ​ 

・フェニルケトン尿症→アスパルテーム(人工甘味料、フェニルアラニンを含むため)

 

 

取り寄せに時間がかかる場合があります  

 申し訳ありませんが、全てのジェネリック医薬品を在庫しているわけではありません。薬局ごとに、製品情報を吟味した上で、使用するジェネリック医薬品を絞っている場合もあります。在庫していない場合、取り寄せに時間がかかる場合があります。 ​

 

 

ご安心ください  

 安価の理由は、「粗悪品」ということでは決してありません。例え、医薬品原料が海外で製造されている場合でも、国内法に従って厳密に管理され、定期的に日本の監督機関 (PMDA) による調査が行われています。  

 ジェネリック医薬品に関して、注意すべき点を理解したうえで使用し、安易に先発品と複数の後発医薬品とを変更するべきではないと考えています。また、医療機関では、情報を吟味したうえで選定していますので、ご安心ください。 もちろん、ご不明な点やご心配な点は、いつでもお尋ねください。

 

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オーソライズドジェネリック (AG)

 ジェネリック医薬品の中には、”オーソライズド”ジェネリックというものもあります。これは、先発医薬品メーカーが、ジェネリックメーカーに、製品特許を与えて開発しているものです。このことにより、オーソライズドジェネリックは、先発医薬品と全く同じ成分(有効成分・添加物の製造方法、製剤化方法)で作ることが可能です。

(注釈)オーソライズド(authorised)…認可された という意味です。

 

―――

 したがって、医療従事者としては、他のジェネリック医薬品と比較して、オーソライズドジェネリックに対しては、より「安心感」を抱いています。

 

 

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処方せんの見かた

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 ジェネリック医薬品を希望される場合は、医療機関でジェネリック医薬品を希望する旨をお伝えになってください。 ​

 院外処方の場合、処方せんにどのように書かれているかをご説明します。

 処方せんをご覧ください。

・一般名を示す【般】の文字がありますか?

 【般】の文字がある場合、『この有効成分を含む医薬品を調剤する』という意味であり、ジェネリック医薬品か先発医薬品か、薬剤師と相談して選ぶことができます。

・「変更不可」の欄に、印がありますか?

 「変更不可」欄に印があり、「保険医署名」欄に署名又は記名・押印されている場合は、処方せんに指示されている医薬品からは、同じ有効成分の薬であっても、変更することはできません。

 

​ 〔診療報酬改定の経緯〕

 平成20年度:処方せんごとに変更不可の場合、署名

 平成24年度:個別の医薬品ごとに、変更不可の場合、署名

 

参考資料:ジェネリック医薬品インフォメーションブック(明治製菓ファルマ)

作成日:2016年5月31日 ​