便の中に薬が!?
こんにちは、こはく堂薬局です。
みなさん、このような経験はありませんか?
便の中に、白いものが・・・
飲んだ薬だ!!!
経験されたかたは、非常に驚かれます。
もちろん、そうですよね。
飲んだ薬が、便の中にでてくること、
出てきたものを、「ゴーストピル」と言います。
薬の抜け殻、ということです。
薬の中には、効き目が長く効くように工夫された製剤があります。
製剤から、成分がゆっくり溶け出すように、特別に工夫されています。
徐々に溶け出す工夫には、いくつかの方法がありますが、例えば、上の絵のように、
プラスチックのカゴの中に、成分を閉じ込めている製剤があります。
カゴの中から、ゆっくりと溶け出すように工夫されています。
しかし、この“カゴ”が、そのまま便の中に出てくることがあります。
薬が便の中にでているので、薬が効いていないのではないか?
と、ご心配だと思います。
これまでの研究で、ゴーストピルの中に、成分が残っているかを調べた結果、
成分はほとんど残っていませんでした。
つまり、薬はきちんと溶けて、効いていました。
ゴーストピルが出ても、臨床的には、ほとんど問題がないことが多いですので、ご安心ください。
ただし、そのようなことがあったことは、医療機関に伝えてください。
では、どのような薬で、ゴーストピルが出やすいのでしょうか?
キーワードは、「溶けにくい薬」です。
下の表には、添付文書に、薬の殻が糞便中に出る可能性があることが書かれている医薬品(先発医薬品のみ)をあげています。
一般名を見ていただくとわかるように、「徐放錠」、つまり、ゆっくり溶けて、長く効く製剤です。
*印刷用の表はこちらをご利用ください
ゴーストピルに注意が必要な薬剤一覧(2023.4作成).pdf (0.08MB)
消化管機能が弱くなっている方でも、ゴーストピルは起こりやすいです。
ゴーストピルは、経験された方は、非常に驚かれます。
もちろん、そうですよね。
でも、製剤の特徴から、そうなりすいので、どうぞ、ご安心ください。
もし、なにか、薬を飲んでいて、ご心配なことなどありましたら、
いつでも、ご遠慮なく、ご相談ください。
大規模黄砂にご注意ください!
4月9日に、中国で低気圧に伴う強風から砂嵐が発生しており、
これが黄砂として、広がってきています。
明日、4月12日に、偏西風にのって黄砂が日本に飛散すると予想されています。
北日本を中心に、濃い黄砂が予想されています。
花粉症・喘息の方には、
黄砂のときに
・呼吸器症状がひどくなる(せき・息苦しい)
・目がかゆい
・肌がかゆい(主にかお)
・肌が赤くなる
という症状が出る方がいらっしゃいます。
明日、4月12日に外出する予定のある方は、十分にお気をつけください。
おすすめ
・化学繊維の上着
・花粉付着防止スプレーを持っている方は、お出かけ前に使う
・保護メガネを準備する
・普段、コンタクトレンズの方も、メガネを持ち歩いておく(できれば、メガネの方が良いです)
(参考情報)
環境庁・気象庁:「黄砂情報提供ホームページ」https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/kosateikyou/kosa.html
ウェザーニュース:「大陸から黄砂が飛来 明日12日(水)は広範囲で霞んだ空に」https://weathernews.jp/s/topics/202304/110125/
配合錠の落とし穴
配合錠とは、
複数の成分を配合している錠剤のことで、
一般的には、
・飲みやすい!
・・・本来2錠飲むところ、1錠で済むので、数が少なくなって便利
・金額が安くなる
・・・1錠ずつよりも、安価
と言われているのですが、
中には、配合錠の方が高価な薬があるので、注意が必要です。
表は、配合錠の薬価と、その成分の先発品(単剤)の薬価の合計とを比較したものです。
ほとんどは、配合錠の方が安価なのですが、中には、配合錠よりも、単剤を2錠、の方が安価になるものがあります。
(※これは、医薬品の性能の優劣を評価するものではありません。それぞれは、きちんと薬として評価され販売されています。単に、値段のみを話題として扱っています)
もちろん、服用する錠数が少なくて済む、というメリットはありますが、
価格の面では、デメリットになってしまいます。
配合錠は安いと思い込まずに、きちんと、一つずつ確認することが大切ですね。
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ということで、これは、私自身に自戒をこめた意味での投稿です。
一つ一つ確認せねば、勉強をしっかりせねば、という。
点数としては同じになるのですが、他の薬が一緒に処方されていた場合、薬価に差が出る可能性もあります。
GE:配合錠の後発医薬品がある
AG:オーソライズドジェネリックがある
単剤の薬価が複数あるのは、併売品に価格差があるため
ーーー(追記)ーーー
降圧剤だけではなく、沢山の薬について、まとめてみました。→DI ニュース 2023.04
自分に合う、抗ヒスタミン薬
前回、花粉症の薬の眠気は、我慢しないといけないものではないことをお伝えしました。
では、自分に合う薬を見つけるには、どうしたら良いのでしょうか?
一つの方法として、「薬の形」から考える方法があります。
ここでいう形とは、丸い錠剤・だ円形の錠剤などという形ではなく、
成分の化学構造式のことです。
前回示した、1994年以降に販売された、第二世代抗ヒスタミン薬をあげます。
大きく分けると、三環系、ピペリジン骨格、ピペラジン骨格という、3つに分類することができます。
薬が効かない場合、副作用と思われる症状が出た場合、
違う系統の薬を使う、という方法が提唱されています。
三環系の薬剤が効かなかった・副作用疑いがある場合は、
ピペリジン系か、ピペラジン系に変更してみる、というものです。
このように、薬の構造から、考えることも、一つの方法です。
市販薬を選ぶときなどに、参考にしていただけると幸いです。
“あなた”にあった薬を選ぶ
薬剤師にも、そのお手伝いをさせてください。
ご不明な点は、お気軽にご相談ください。
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(関連記事)
・眠気は我慢しないといけない? https://kohakudo589.com/diary/58357 (2023年4月6日)
・自分に合う、抗ヒスタミン薬 https://kohakudo589.com/diary/58818 (2023年4月10日)
・薬の使い方/点鼻薬 https://kohakudo589.com/info/1949805(2018年3月3日)
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#副作用 #花粉症
眠気は我慢しないといけない?
おくすりクイズ
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Q. 花粉症の薬を飲んで眠いのは、薬が良くきいている証拠だから、
眠気は我慢しないといけない?
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薬を飲むと眠くなる、という経験がある人も多いのではないでしょうか。
花粉症の薬だけでなく、総合感冒薬、抗不安薬、酔い止めなど、眠気が出る可能性がある薬はたくさんあります。
花粉症の薬のうち、くしゃみ・鼻水を止める効果に優れている薬を、抗ヒスタミン薬といいます。
花粉症の方の体内では、花粉が体内に入ると、花粉を追い出したり、守ろうとする防御反応が起こります。
その中心となる物質が、ヒスタミンです。
花粉が入ると、ヒスタミンが免疫細胞から放出され、
・くしゃみを出して、花粉を追い出せ!
・鼻水を出して、洗い流せ!
という、命令を伝えます。
これが、花粉症のつらい症状につながります。
一方、ヒスタミンは、脳内では、「覚醒」の信号伝達に関わっています。
そのため、脳内でのヒスタミンの作用を抑えてしまうと、覚醒が邪魔される=眠気がおそう、ことにつながります。
自覚できる「眠気」だけでなく、気づかないうちに集中力が低下する「インペアードパフォーマンス」が起こることもあります。
薬が、鼻で効くと、くしゃみ・鼻水を抑えますが、
脳に移行して、脳で効くと、眠気を引き起こします。
従来使われていた抗ヒスタミン薬は、眠気が強くでるものも多くありました。
最近では、眠気の副作用が少ない抗ヒスタミン薬がたくさん開発されています。
従来型の、眠気や口渇に注意が必要なものを、第一世代抗ヒスタミン薬、
眠くなりにくいものを、第二世代抗ヒスタミン薬といいます。
第二世代のなかでも、特に眠くなりにくい、「非鎮静性」の薬もあります。
眠気の強さを予測する指標の一つに、「脳内のヒスタミン受容体との結合の強さ」があります。
これは、あくまでも、指標の一つにしかすぎませんが、この数値が小さいほど、脳に作用しにくい、眠くなりにくい薬であるといえます。
代表的な一覧を、図に示しました。
第一世代抗ヒスタミン薬である、d-クロルフェニラミンと比較すると、第二世代抗ヒスタミン薬は、全体的に眠くなりにくい薬であることが、ここからも見て取れます。
なかでも、特に眠くなりにくいと考えられるのが、ビラスチン、フェキソフェナジン、デスロラタジンです。
眠くなる薬は、効く薬、
眠くならない薬は、効かない薬、
というわけではありません!!!
なお、四角の塗り分けは、添付文書の眠気に関する注意事項の記載内容分類に対応しています。
保険診療で薬を使う時は、添付文書の記載内容を守ることが大切です。
そこで添付文書の内容を見てみます。
添付文書には、「眠気」に関する記載があります。
①眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること
②眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意させること
③記載なし
このパターンに分けられます。「危険な作業をしないように」と禁止されているのか、注意喚起が必要なのか、の種類があります。
下の図には、①を「禁止」、②を「注意」、③を「記載なし」として示しています。
このように、添付文書の記載内容は、必ずしも、「脳内のヒスタミン受容体との結合の強さ」とは比例していないことがわかります。
「禁止」でも脳内への作用は弱い可能性の薬もあります。
ただし、薬による眠気は、個人差が非常に大きいですので、注意が必要です。
「薬を飲むと、眠くなりやすい」などは、必ず、伝えてください。
このように第二世代抗ヒスタミン薬は、多くの種類が開発されています。
眠気があっても、効いているから、と我慢する必要はありません。
自分にあった薬を使うことが大切です。
また、1日の服薬回数も、種類があります。(図内の◯付き番号は、1日の服薬回数です)
1日2回は飲み忘れるけど、1回だったら大丈夫、なども、ぜひ、伝えてください。
そのためには、
・今までに飲んだ薬の名前
・その薬を飲んだ時にどうだったか(効いたか、眠気はどうか)
を記録することが非常に大切です。
ぜひ、お薬手帳に書き込んでください。
眠くなったことも、ぜひ、教えてください。
皆様、おひとりおひとりに合った薬の選択のお手伝いをさせてください。
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花粉症の薬を飲む時のポイント
・これまでに薬を飲んだ時、効いたのか、副作用と思われる症状はなかったか、お薬手帳に書き込みましょう
・職業的に注意が必要かを、ぜひ、教えてください
・自動車運転
・機械作業や高所作業など、危険を伴う作業をする
・夜勤がある仕事か
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→では、”合う薬”は、どうやって探すと良いのでしょうか?(次につづく)
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(関連記事)
・眠気は我慢しないといけない? https://kohakudo589.com/diary/58357 (2023年4月6日)
・自分に合う、抗ヒスタミン薬 https://kohakudo589.com/diary/58818 (2023年4月10日)
・薬の使い方/点鼻薬 https://kohakudo589.com/info/1949805(2018年3月3日)
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#副作用 #花粉症