2021/12/10 09:00
【薬と飲み物の相互作用】アルコール
食物や飲料には薬といわゆる「飲み合わせ」が悪いものがあります。
このことを、薬と食品とが「相互作用」をする、といいます。
薬と相互作用することが知られているのは、一部の食品ですが、中には重大な影響がある場合もあるので、注意が必要です。
◯アルコール
アルコールが病気に影響する場合と、薬の作用に影響する場合と、両方の可能性があります。
<病気に影響する場合>
アルコールを飲むと「酔う」のですが、これは、アルコールの影響で、中枢神経系(脳を含む)が抑制された状態になっているためです。
他にも、全身にいろんな作用を引き起こします。
例えば、「食前酒」を飲むのは、食事をする前に、消化を助けるように、胃酸分泌を活性化させるという意味もあるように、アルコールは胃酸分泌にも影響します。
また、アルコールは血管を拡張させます。これは、『お酒を飲むと鼻が詰まる』という方もいらっしゃると思いますので、イメージができるのではないでしょうか。
・胃が悪い方
前述のように、アルコールは胃酸分泌を刺激します。
そのため、胃酸のせいで胃が荒れている場合、アルコールを飲むと、治療薬の効果が期待できない可能性があります。
・花粉症の方等
アルコールを飲むと、血管が拡がるので、鼻がつまります(健常な方であっても)。
そのため、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎があるかたや、鼻症状がある方は、アルコールのせいで、症状がひどくなる可能性もあります。
<薬の作用に影響する場合>
・睡眠薬・中枢神経系に作用する薬
薬の中には、中枢神経系を適度に抑える薬があります。
例えば、睡眠を助ける薬があります。
これは、適度に抑えることで、眠りを誘う効果があります。
そのため、これらの薬をアルコールと一緒に飲むと、薬の効果が強く出過ぎてしまい、予期せぬ効果が出る可能性があります。
(もちろん、アルコールを、睡眠薬代わりに寝酒として飲む、という飲み方はお勧めしません。)
アルコールの効果が切れた頃合いで、きちんと処方された睡眠薬をお飲みになられると安心です。
また、「花粉症」の薬を飲むときに、お酒を飲まないように、と説明を受けた方もいらっしゃるかもしれません。
花粉症の薬のように、鼻水を止める作用がある薬の中には、飲むと眠くなる場合があります。
これも、中枢神経系を抑制させる効果もあるためです。
ただでさえ、薬を飲むと眠くなりやすいという方は、アルコールと一緒に飲むと、過剰に抑制されてしまう可能性がありますので、控えておいた方がよいと思います。
また、花粉症の方は、前述の通り、お酒でも鼻づまりが起こることがあります。薬との相互作用というよりも、お酒のせいで、ますます、鼻症状がつらくなる可能性の方も心配ですので、「ほどほどに」控えることをおすすめします。
・抗菌薬の一つ
抗菌薬の中には、アルコールと一緒に飲むと、「悪酔い」の状態になって、気分が悪くなる薬があります。
アルコールが分解されると、「アセトアルデヒド」という物質に変換されます。この物質が、「酔い」の原因です。抗菌薬の一つには、このアセトアルデヒドの分解を邪魔(阻害)するので、「悪酔い状態」になってしまいます。
この薬を飲む間は、禁酒が必要です。
・風邪薬
風邪薬には、アセトアミノフェンという物質を含むものがあります(市販薬を含め)。
これは痛み止めや熱冷ましの目的で、非常によく使われている薬です。
ただし、アルコール大量に常用しているような方の場合、アセトアミノフェンの代謝に影響した結果、肝障害を引き起こす可能性があります。
というと、ほどほどのお酒なら大丈夫?と思われるかもしれませんが、
ただでさえ、アルコールは肝臓に負担をしいるので、風邪を引いたときは、お酒を控えて、風邪を治すことを優先されることをおすすめします。
お酒は百薬の長、などという言い方をされます。
(現在のご時世では難しいですが)お酒の席でのコミュニケーションが仕事を助けたり、などということも、もちろんあります。
このように、もちろん、お酒に良い面もあることは理解しています。
ただし、薬を飲んでいる場合、アルコールが薬の作用に影響を及ぼし、予期せぬ事態を引き起こす可能性もあります。
お酒とは上手に付き合っていただいたうえで、
薬を飲むときには、お酒を飲んでもよいか、投薬を受けるときに確認しましょう。
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?