2021/12/14 09:00

【薬と飲み物の相互作用】ミネラルウォーターで飲んではダメな薬?【特別編】

【薬と飲み物の相互作用】ミネラルウォーターで飲んではダメな薬?【特別編】

これまで、薬と相互作用がある代表的な薬を紹介してきました。

 

薬の中には、特に影響を受けやすいものがありますので、ご紹介します。

 

〇ビスホスホネート製剤

 

これは、骨粗鬆症の方などで、使われる薬です。

ヒトの体内では、骨は常につくりかえられています。

古くなった骨は破骨細胞で壊され、壊れた部分を骨芽細胞が修復することで、新しく作り変えられています。

骨粗鬆症は、このバランスが崩れ、骨量が少なくなっている状態です。

骨粗鬆症があると、転ぶなどのちょっとしたことで骨折しやすくなります。

 

骨粗鬆症の予防のために、運動(運動負荷により骨生成が促進される)やカルシウム・ビタミンD・タンパク質を食べるように食事の工夫が推奨されます。

それでも不十分な部分を補うために、治療薬が使われます。

骨粗鬆症の治療薬の一つに、「ビスホスホネート製剤」があります。類薬をまとめて、「ビスホスホネート製剤」と総称されます。

これは破骨細胞の働きを抑制することで、骨量の減少を増加させる効果があります。

これにより、転倒による骨折を予防し、日常生活を過ごしやすくするために使われます。

 

とても大切な薬ではあるのですが、薬の飲み方にとても注意が必要です。

①消化管から吸収されにくい

この薬は、消化管から非常に吸収されにくいという特徴があります。服用した薬の数%しか吸収されません。

(そういうと本当に効くのと思われるかもしれませんが、骨量を増加させる、将来に寝たきりになるリスクを下げるために、とても大切な薬です。)

そのため、薬をきちんと吸収させ、効果を得るために、薬の吸収を邪魔するものを極力少なくする必要があります。

 

<飲み方の工夫>

  • 起床後すぐに服用する
  • コップ一杯の水道水で服用する
  • 服用後30分は、飲食を避ける

 

そこで、上記のような飲み方の工夫が必要になります。

「起床後」服用には、消化管の中が空っぽの状態のときに、薬を飲んで欲しいという意味があります。

「服用後30分は飲食を避ける」には、薬の他に、何かの食品があると、それとくっついてしまい、薬が吸収されなくなるので、それを防ぐ、という意味があります。

何かの食品というものには、「ミネラルウォーター」も含まれます。

ミネラルウォーターの多くは、ミネラル分を多く含み、硬度が高いものがあります。

「ミネラル」とは、無機質ともいわれ、カルシウムなど、4大栄養素を助ける働きをするものです。

ビスホスホネート製剤は、これらともくっついてしまうため、薬が吸収されなくなり、薬の効果が減少してしまいます。

そのため、ミネラルウォーターで飲んではいけません。

 

また、服薬を助けるための服薬補助ゼリーなどをお使いの方もいらっしゃると思います。

これも、ミネラル分などを含むため、服薬補助ゼリーを使って、ビスホスホネート製剤を飲んではいけません。

ただし、薬自体がゼリー状の薬も開発されていますので、服薬しずらいなど、お困りの方はご相談ください。

 

②消化管粘膜に炎症を起こす可能性がある

この薬は、粘膜に炎症を起こす特徴もある薬です。

そのため、口の中や食道の途中に引っかからないように、服薬後30分は、横にならずに上体を起こしておくように、お願いします。

 

<飲み方の工夫>

  • 服用後30分は、横にならない

 

誤解されやすい点がありますので注意をお願いします。

横にならないことが大切です。

中には、ずっと立ったままでいないといけない、と誤解されることがあります。横に寝そべらなければ、座っていて構いません。背もたれに寄りかかっていただいて結構です。

じっとしておかないといけない、と誤解されることがあります。寝そべらなければ、普段通りに動いていただいて結構です。

 

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これまでの記事も、参考になさってください。

2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ

2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?

2021.12.09 【薬と飲み物の相互作用】グレープフルーツ

2021.12.10 【薬と飲み物の相互作用】アルコール

2021.12.11 【薬と飲み物の相互作用】炭酸飲料