2021/12/13 10:00
【薬と飲み物の相互作用】青汁
これまでに、医薬品と食品(飲料)の相互作用について、お伝えしてきました。
今回、お伝えするのは、青汁です。
青汁というと、野菜不足を補うために、健康を心がけて飲んでいる方もいらっしゃると思います。
ただし、ひとつの薬については、その薬の効果を邪魔してしまうため、注意が必要です。
〇青汁
青汁というと、ケールが良く使われます。ケールは、キャベツやレタスの原種といわれ、栄養素のバランスが良いことからも、青汁の原料に使われます。
他にも、青汁の原料としては、他にも、青麦若葉、明日葉、桑の葉などが使われます。
総じて、特長としては、ジュースにすることで、たくさんの量を簡単に摂取することができます。
その反面、一度に「たくさんの量」をとるため、相互作用が起きてしまう、という注意点があります。
・ワルファリン
ワルファリンは、血液を固まりにくくして、血栓(血液の塊)をできにくくし、血管が詰まらないようにするための治療薬として、用いられています。
その作用メカニズムは、血液を固まらせるために、「血液凝固因子」の合成を邪魔することで発揮されます。
血液凝固因子のうち、いくつかの種類は、ビタミンKの働きによって、活性化されます。
つまり、血液が固まるためには、ビタミンKが必要です。
ワルファリンは、ビタミンKの働きを邪魔することで、血液を固まりにくくしています。
ワルファリンの効き目には個人差や変動があるため、常に効果を確認しながら使われています。
ビタミンKは、食事から摂取され、また、腸内細菌によって合成されています。
食事からのビタミンKの摂取量が多くなると、ワルファリンの効果が減少します。
そのため、ワルファリンを飲んでいるときは、
①ビタミンK含有量の多い食品をとらないこと、
②摂取量が大きく変動しないこと、が大切です。
食品の中でも、納豆は特にビタミンKの含有量が多く、さらに、ビタミンK合成酵素も持っています。
納豆を食べると、ワルファリンの効果がなくなるため、ワルファリンを飲んでいるときは、納豆を食べてはいけません。
ワルファリンは、効果が長く続く薬ですので、食べる時間をずらしたとしても、影響します。絶対に、食べないでください。
他にも、緑色の濃い野菜は、比較的ビタミンKの含有量が多いです。
しかし、健康維持のためには、食べないわけにはいきません。
そこで、ビタミンKの摂取量の変動幅を小さくするために、「小鉢一杯」くらいを食べましょう、と言われます。
しかし、青汁だと、ジュースとしてたくさんの量を摂取してしまうため、ワルファリンの効き目を低下させてしまうので、飲まないようにお願いします。
ワルファリンは、古くから使われている大切な薬ですが、相互作用などのため、適切に使うことが大切です。
この他にも、いろいろと説明を受けていらっしゃると思います。
疑問点は、尋ねていただき、納得して治療を受けられるように、お手伝いしたいと思います。
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
2021.12.09 【薬と飲み物の相互作用】グレープフルーツ
2021.12.13 【薬と飲み物の相互作用】ミネラルウォーターで飲んではダメな薬?【特別編】