2018/05/24 13:00

薬の使い方/とんぷくやく

薬の知識 >薬の正しい使い方 >とんぷくやく

 

頓服薬(とんぷくやく)

 頓服とは、食後など決まった時間ではなく、発作時や症状のひどいときなどに薬を飲むことであり、そのような飲み方をする薬のことを、「頓服薬(とんぷくやく)」といいます。

 頓服薬の場合、どんな時に飲むのか、医療関係者に確認し、正しく理解して使用することが、とても大切です。

 

 頓服薬として用いられる薬には、主に、以下のような効果の薬があります。

◇解熱剤

通常、熱が38.5℃以上あって体がきついときに服用します。

効かないからといって、続けて服用してはいけません。一度服用したら、最低3~4時間はあけてください(薬によって指示が異なる場合があります)。

 

◇鎮痛剤

頭痛、腹痛、歯痛、その他の痛みのある時に服用します。

これも続けて服用する場合は、3〜4時間間隔をあけてください(薬によって指示が異なる場合があります)

 

下 剤

便秘の時に服用します。

通常、寝る前に服用することで、翌朝便通があることを期待して、寝る前に服用指示されることが多いですが、薬の作用時間によって、指示内容が異なる場合があります。

 

◇睡眠剤

眠れない時に服用します。

医師の指示に従い、1回量を厳守して服用しましょう。

 

◇狭心症

発作止めの薬

(舌下錠) 狭心症の発作が起こった時に服用します。

 

舌下錠というのは舌の下、または歯ぐきと頬の間に錠剤を入れて服用するもので、口腔内の粘膜から直接吸収されるため、通常1分以内に効果が現れます。かみ砕いたり、のみこんだりしないように注意して下さい。

 

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 頓服薬は、本来の意味が患者さんに誤って理解されていることが多い言葉です [1] ので、あらためてお伝えします。すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、今一度確認して、薬を正しく使用しましょう。

 

参考資料)

[1]国立国語研究所「病院の言葉」委員会:「病院の言葉」をわかりやすくする提案、平成21年3月.(URL

2018/05/24 12:00

薬局・薬剤師とは/チーム医療

トップページ >薬局・薬剤師とは? >チーム医療 

 

「チーム医療」という言葉をどこかでお聞きになられた方もいらっしゃると思います。これからの医療において、大切な考え方ですので、ここでご説明します。

 

チーム医療とは?

 

チーム医療とは、はじめは、病院における医療の姿から提唱されたものですので、まず、病院を思い浮かべていただけるとわかりやすいかもしれません。

病院には、非常にさまざまな職種のメディカルスタッフ(医療専門職)が働いています。

 

チーム医療とは、一人の患者さんに対して、

複数のメディカルスタッフが連携して、

治療やケアに当たることです

 

共に働く様々なメディカルスタッフが、患者さんを医療の中心において、

目的と情報を共有し、多種多様なメディカルスタッフが、

それぞれの専門性を活かして、業務を分担し、

お互いに連携・補完しあうことで、

患者さんの状況に応じた質の高い医療を提供することを目的とするものです。

現在では、多くの病院で、感染対策や緩和ケア、栄養など、専門的なチームを組んで、質の高い医療の提供に向けた取り組みが行われています。

 

現在では、患者さんやご家族を医療の中心に置くという考えかたから一歩進んで、患者さんやご家族も、メディカルスタッフの支援のもと、意思決定を行うなど、

患者さんやご家族もチームの一員であり、共に治療やケアに取り組むと考えられています。

 

さらに、「病院完結型」ではなく、地域でのチーム医療として、患者さんの治療やケアを支えるという考え方が広がっています。

患者さんの生活を考える場合、入院中を考えるだけでは不十分です。入院前後の地域の医療機関と病院との連携をはじめ、慢性疾患をはじめとする地域の診療所・歯科診療所・薬局での医療や在宅医療、慢性療養を支える施設など、医療と介護・福祉の連携が重要です。

 

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まちの薬局も、地域におけるチーム医療の一員として、医療に貢献することを目指しています。

 

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 チーム医療の具体例として、厚生労働省では以下のような事項を挙げています。薬局薬剤師として、これからもチーム医療に少しでも貢献できるように努めます。

 

チーム医療の中で、薬剤師が貢献すべき業務の具体例 [1]

 

1)薬剤師を積極的に活用することが可能な業務

 以下に掲げる業務については、現行制度の下において薬剤師が実施することができることから、薬剤師を積極的に活用することが望まれる。

 

① 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。

② 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。

③ 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。

④ 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。

⑤ 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること。

⑥ 外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。

⑦ 入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、当該患者に対する薬学的管理を行うこと。

⑧ 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤すること。

⑨ 抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。

 

2)薬剤に関する相談体制の整備

 薬剤師以外の医療スタッフが、それぞれの専門性を活かして薬剤に関する業務を行う場合においても、医療安全の確保に万全を期す観点から、薬剤師の助言を必要とする場面が想定されることから、薬剤の専門家として各医療スタッフからの相談に応じることができる体制を整えることが望まれる。

 

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参考資料)

[1] 厚生労働省医政局長通知:「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」、医政発0430第1号、平成22年4月30日.

[2] 厚生労働省:「安心と希望の医療確保ビジョン」、平成20年6月.

2018/04/21 14:15

電子お薬手帳の使い方

 電子お薬手帳の基本的な機能については、こちらのページでお伝えしました。

 トップページ >薬局・薬剤師とは? >処方せん調剤 >お薬手帳 >電子お薬手帳

 

 

 ここでは、実際に使うときの使い方をご説明します。いろんな使い方があるので、ご自身の使いやすい方法、薬局などの対応状況によって、適切な方法を選んでいただくことができます。

  

 また、電子お薬手帳アプリには、複数の種類がありますので、詳細は異なる場合があります。ここでは、基本的な仕組みをご説明します。

 

 

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 まずは、電子お薬手帳アプリに、処方薬などの情報を入力する方法です。

 

 

その1:データ入力

 

① 薬局で発行された QR コードを読み込む

 スマートフォンのカメラを使い、QR コードを読み込んでいただくことで、薬の名前や注意事項を簡単に入力することが可能です。複数の ID を作っている方は、読み込みの時に、該当する人を選択してください。

・どこの薬局でも QR コードに対応しているのか?

 パソコンで入力された領収書を発行している薬局であれば、ほぼ対応可能です(である、はず)。QR コードの印刷場所は、領収書の下部や、薬剤情報提供書の下部、独立した紙など、さまざまですので、それぞれの薬局で発行してもらうときに、ご確認ください。

 

② 手入力

 ①や③ができない場合(対応していない薬局や、病院・診療所内で調剤を受ける場合。入院中の薬の記録など)、手入力をお願いします。文章で薬の名前を入力してください。アプリによって、写真を記録できる場合もあります。

 

③ 薬局からデータ送信

 薬局から、調剤した医薬品の情報を、お使いの方の端末に送信するため、自動的に入力可能となり、入力の手間が楽です。

 ただし、これを行うには、いくつかの条件があります。

(1) アプリ使用者(患者さん側)が、クラウドにデータを保管することに同意すること(アプリの設定やインストール時の同意事項)

(2) 薬局が、データ送信可能な電子お薬手帳のシステムに加盟していること

(3) アプリ使用者が、薬局が患者さんのデータにアクセスする許可を与えること(永続的な許可と一時的な許可の二種類があります)

 

・使用者と薬局が使用する電子お薬手帳アプリが違うとできないのか?

e薬Link」に加盟している電子お薬手帳アプリであれば、相互に参照することが可能です。

 

電子お薬手帳 使いかた.jpg

 

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 携帯していただいた情報、安心・安全の医療をうけるために、医療機関で見せてください。

 

 その2:医療機関で見せる

 

① アプリの画面を見せる

 画面に薬の内容がわかる画面を表示させた状態で、提示してください。医療機関側では、患者さんの許可なく、携帯の操作をすることはありません。

 入院された時など、内容を確認するために、時間を要することも考えられます。その場合、長時間携帯をお預かりすることは、不都合がある場合もあります。その対策として、入院前に、紙媒体で服用薬一覧がわかるものを用意しておくことをおすすめします。具体的には、保管しておいた薬剤情報提供書や明細書を見せる、もしくは、薬局に伝えて、紙に印刷してもらう、などの方法があります。

 

② データを見せる

 その1の③と同様に、データ利用を許可いただいていて、薬局が電子お薬手帳のシステムに加入している場合、薬局が情報保管場所に保存された患者さんの薬の情報を参照することが可能です。この場合、スマホ端末を、医療機関に渡す必要がありません。

 

電子お薬手帳 使いかた ②.jpg

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電子お薬手帳 併用.jpg

 

 

電子お薬手帳の課題

 電子お薬手帳は、主に、処方せんを受け付けて医薬品を調剤している保険薬局が、すすめている仕組みです。ただし、お薬手帳の情報が必要なのは、病院・診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、介護施設など、多岐にわたります。このような薬局以外の施設では、十分に周知されていない点もあるかもしれません(そのあたり、活用をお手伝いするのは、薬剤師としての、今後の課題のひとつです)。患者さんご自身はもちろん、どの職種の方にも、適切に情報を活用していただきたいと思っています。

 また、救急時に、スマホ端末にパスワードロックがかかっていると、せっかくの必要な情報がわからない、という問題もあります。

 その解決策のために、当薬局では、紙のお薬手帳と電子お薬手帳を併用することをおすすめしています。

 

 病院・診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、介護施設など、どの施設でも、ご自身の情報を提示してください。適切な医療・介護うけるために、必要なことです。ご面倒ですが、ご理解とご協力の程、お願いいたします。

2018/04/12 15:00

薬局・薬剤師とは/医薬品の提供

薬局・薬剤師とは? >医薬品の提供

 

 医薬品は、医師による診断に基づき処方される「医療用医薬品」と、薬局・薬店・ドラッグストアなどで(助言を受けて)自分で選んで買うことができる「一般用医薬品(OTC)」「要指導医薬品」に分類されます。

 一般用医薬品は、さらに、安全性などの観点から第一類から第三類に分類され、販売方法が異なります

 

OTC、要指示医薬品 一覧表.jpg

 

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セルフメディケーション

 

 セルフメディケーション(Self-medication)とは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てすること」(世界保健機構(WHO))と定義されており、​つまり、健康に関心を持ち正しい知識の元、普段から健康習慣に気をつけ、市販薬(OTC薬、要指示医薬品)を上手に使うことを指します。もちろん、必要に応じて医療機関にかかることが重要ですが、上手にセルフメディケーションをすることで、医療費の低減が期待できます。

 

 大切なことは、病院にかかるべきところを正しく見極めることです(病院にかかるべきタイミングを逃さない)。つまり、病院に行く時間がないときなどは、セルフメディケーションは便利ですが、診察を受ける必要があるときには、市販薬を使うのではなく、病院・診療所を受診するということです。薬局としては、この見極めもお手伝いしたいと考えています。

 薬剤師による「〇日服用して症状が変わらなければ、必ず病院を受診してください」「薬をお売りすることはできません」の言葉の裏には、正しく医療機関を受診していただきたいという願いがあることを、ご理解ください。

 

 

【追記】平成29年1月1日以降、一部の一般用医薬品について、医療費控除が認められるようになりました。ぜひ、ご確認ください。

 ※セルフメディケーション税制による医療費控除は、現行の医療費控除とは重複できませんので、ご注意ください。

参照)「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」(LINK) (厚生労働省 HP より)

2018/04/12 12:00

薬局・薬剤師とは/在宅医療

 薬局・薬剤師として、他の医療職や介護・福祉職と連携して、患者さんの在宅医療を支えたいと願っています。

 在宅医療において、薬剤師がめざすことには、以下の項目などがあります。

 

(1)医療の提供

 ・処方せんに基づく医療用医薬品の提供(調剤)

 ・高度医療の支援:無菌調剤(※) (実施可能な薬局のみ。当薬局では不可)

 ・衛生材料・医療材料の提供

 

(2)生活に即した提案 リスク回避のため、生活背景に合わせた提案をします

 ・薬剤性リスクの回避

  ・副作用

  ・飲み合わせ(相互作用)

  ・飲み忘れの回避

  ・重複投与の回避

 

 

(3)多職種や地域と連携し、情報共有

 

​  患者さんのご自宅や施設などを訪問させていただくことは、薬剤師として、特に、上述の(2)の項目について、個々の患者さんの生活背景を把握したうえで、適切な対応がとりやすいというメリットがあります。

 

 

(例)

 ・転倒リスクがある薬を服用されている方に、住まい環境の転倒対策をお願いする

 ・医薬品以外の飲食物の摂取状況を知り易い(薬同士はもちろん、飲食物との相互作用の可能性もあるため)

 ・医薬品の実際の保管状況を知ったうえで、適切な管理方法を提案できる ​

 ・使用する医薬品を一括管理し易い ​​

 ・実際に薬を使うタイミングで訪問させていただくと、薬を正しく使用できているか直接確認できる ​

 

 

 薬剤師の在宅訪問には、「在宅患者訪問薬剤管理指導」「居宅療養管理指導」があり、それぞれ医療保険、介護保険を使用することができます。まずは、かかりつけの薬剤師に一度ご相談ください。

 単に「家まで薬を届けに行く」だけではないメリットを、提供したいと考えています。

 

 

◯利用するためには? ​

 まずは、薬局でご相談ください(もちろん、ケアマネージャーや主治医にご相談いただいても結構です)。

 訪問のためには、いくつかの条件が必要です。薬剤師が患者さんの状態を確認し、主治医の指示を仰いだうえで、訪問することが可能になります。

 

 ◯ご利用の対象となる方

 以下の条件に合う方は、ご利用いただけます。

 

通院・来局が困難な方

・薬剤師の訪問が必要な方(自宅でのお薬の使用や管理に不安がある など)

・薬剤師の訪問が必要と医師が認め、薬剤師に対して、訪問指示がある

・薬剤師の訪問について、患者様(ご家族)の同意がある

 

◯ご利用料金

「薬代」「薬剤師の訪問に関わる費用」が必要です

 

「薬剤師の訪問に関わる費用」とは?

在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)

居宅療養管理指導費(介護保険)

※加入している保険などによって異なります

 

・在宅患者訪問薬剤管理指導料:650点(自己負担が1割の場合、650円)

・居宅療養管理指導費:517単位(自己負担が1割の場合、517円) など(令和4年4月診療報酬改定)

 

 

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【関連用語の説明】

○ 地域包括ケアシステム

 「高齢者の方が自分らしく過ごす」ことを目的とした仕組みです。地域の特色を生かして、医療、介護・福祉、地域の力を連携することで、高齢者の方の希望や状況に応じたケアを構築・提供するものです。

参考)厚生労働省 HP:地域包括ケアシステム

 

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