2021/12/07 10:00
【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
まずは、正しい飲み方をお伝えします。
飲み薬は、基本的に、
コップ一杯の、
水か白湯で飲んでください。
ただし、これは、あくまでも原則です。
中には、水分摂取量を制限されている方など、この原則には当てはまらない方もいらっしゃいます。
あたりまえでしょ、とか、なんとなくそう思っている方も多いと思います。
中には、水なしでも飲める!という方もいらっしゃると思います。
◯なぜ、「コップ一杯」なんでしょうか。
飲み薬は、口から飲んだ後、食道から胃を通り、小腸に到達し、大半の薬は小腸で吸収されます。
吸収された薬は、血液の流れにのって、全身をめぐり、薬理作用を発揮します。
吸収されるとき、消化管の動きで運ばれながら、消化液と混ざり、錠剤やカプセルは細かい固まりにバラバラにされ、分散または溶解した状態になると、吸収されやすくなります。
ここで、カプセルを飲んだことがある方は想像できるかもしれません。指先を軽く濡らして、カプセルを触ると、指先にくっついてしまいます。くっついた指先に水をかけると、さらりと外れます。
このように、唾液が十分出ているような人は、粘膜に薬もくっつきにくいのですが、
唾液が少ない方(特に、高齢者など)は、薬も粘膜にくっつきやすい傾向にあります。
このように、コップ一杯の水には、
①薬を吸収される部位へと送り届ける
・口内や食道などに付着させないように
②薬をしっかりと溶かして、吸収させる
という意味があります。
口や食道に付着して残ると、炎症を引き起こしたり、薬の効果が正しく得られない原因になります。
◯なぜ、水か白湯、なのでしょうか。
薬と飲み物の組み合わせによっては、化学反応などが起こる場合があります。
代表的なものには、前回にお示ししたようなものがあります。
組み合わせによっては、
・薬の効果がなくなるもの
・薬の効果が強くですぎて、よくない作用をもたらすもの
があります。
それらを防ぐために、基本的には、水か白湯で飲むことが推奨されています。
いろんな組み合わせがありますので、また、次回以降で説明します。
◯例外は?
この飲み方は、あくまでも原則です、と申し上げました。
前述したように、例えば、腎臓や心臓の病気のために、1日に摂取する水分量を制限していらっしゃる方もおられます。
そのような方の場合、一口くらいの少量の水でも、薬がしっかりととけるように工夫された剤型の薬を使用するなど、工夫されています。
また、薬を飲みやすくするために、あえて、水以外の飲料で飲むことを推奨される場合もあります。
このように、薬の飲みやすさも、いろいろと工夫されていますので、
・薬が飲みにくい
・ひっかかるような感じがする
など、気になる点は、ご相談ください。
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
2021/12/06 09:00
【薬の使い方】その薬、どう飲みますか?
こんにちは。こはく堂薬局です。
病気の治療のためや、症状を和らげるため、大切な薬ですが、
その期待する効果を得るために、正しく使うことも、非常に大切です。
ここでは、薬の正しい使い方と、その「なぜ」について、
できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
そこで、さっそく、クイズです。
画像に、いくつかの飲料をお示ししました。
この中には、飲料と飲み合わせが悪い薬があるものがあります。
どれだと思いますか?
でも、実は、例示した飲料だけではないんです。。。。
2021/12/03 09:00
【アンチドーピング】2022月1月からの変更点に注意
アスリートの皆さんの日頃の成果を発揮される姿には、心から尊敬と感動を覚えます。
そんなスポーツのフェアプレーの精神を尊重し、自分の身体を守るため、
気をつけないといけないことのひとつに、“アンチ・ドーピング”があります。
中でも、“うっかりドーピング”には注意が必要です。
病気の治療のために使用した医薬品が、実はドーピングで禁止されていた!という事例のことです。
病気の治療目的で使用したとしても、
競技能力に影響を与える可能性がある薬や方法は、
世界アンチ・ドーピング規程で、禁止物質・禁止方法として規制されています。
目的が治療目的かどうかは関係ありません。
スポーツをする皆様には、アンチ・ドーピングの観点から、禁止物質・禁止方法を使わない治療をしなければなりません。
その世界アンチ・ドーピング規定は毎年1月1日に改訂されます。
2022年1月1日からの改訂内容のうち、注意すべき点の一つを今回ご案内します。
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「S9. 糖質コルチコイド」の規則が厳格化されます
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「糖質コルチコイド」とは、いわゆる副腎皮質ステロイド薬と言われ、
過剰な免疫反応や炎症反応を鎮めるために、いろんな疾患の治療で使われています。
今までは、「全身に作用を及ぼすような投与経路」が「競技会検査」で禁止されていました。
(2021年12月まで)経口、経直腸、静脈注射、筋肉注射
(2022年1月から)
・全ての注射経路が禁止になりました(局所注射も禁止経路に加えられました)
・ウォッシュアウト期間が定められました
「ウォッシュアウト期間」とは、体内に入った物質が、尿や便中など、体外に出てしまうまでに要する期間のことです。
つまり、競技会の時に禁止物質が体内に残っていない状態を保つため、大会が近くなったら注意が必要です。
詳しい内容は、2022年の世界アンチ・ドーピング規程の日本ご飯が正式に公開されてからお伝えしたいのですが、一つだけ。
薬局薬剤師が声を大にしてお伝えしたいのが、「トリアムシノロン アセトニド」という物質です。
なぜ、これをあげるかと言うと、市販されていることがあるからです。
もちろん、この薬には治療には良い薬です。
市販薬として使われる場合、口内炎の治療薬として、塗り薬や口内に貼る薬として、市販されている薬に、「トリアムシノロン アセトニド」を含むものがあります。
しかし、これは
大会前の30日以内には、使ってはいけません!
口内に使うための、塗り薬・貼り薬であってもです。
軟膏などは、使った後も家に置いておいて、調子が悪くなると自己判断で使う・・・
という使い方をされることがあります。
そのような使い方をしてはいけません!
ただし、治療目的で使用するため、禁止物質を使わないと治療できない!という場合には、申請をして認められたら、使用できる場合があります。治療を受けているところで、しっかりと相談されてください。
スポーツマンの方は、市販薬を購入するときにも、必ずお薬手帳を持参されてください。
そして、お薬手帳には、「ドーピング禁止物質でないか確認してください」とあらかじめ書いておくと安心です。
心配なことは、ご相談ください。
注釈)
*1 世界アンチ・ドーピング規程・・・世界ドーピング防止機構(WADA)が定めたルール。毎年1月1日に改訂される。日本ドーピング防止機構(JADA)が日本語版を作成している。
*2 競技会検査・・・禁止物質・禁止方法は、“常に禁止されるのか”、“競技会検査で禁止”されるのか、二つに分類されています。世界レベルで活躍しているトップアスリートは、競技会外検査の対象であるため、常にアンチ・ドーピングの注意が必要です。
*3 治療目的での使用・・・治療のために必要な場合、全てを禁止するものではあります。その場合、TUE(治療使用特例)申請を行い、認められると使用できる場合があります。
これまでに書いた記事も、よろしければ、ご参照ください。
こはく堂薬局のホームページ >薬局・薬剤師とは >スポーツファーマシスト
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Special thanks
◯イラスト:イラスト AC https://www.ac-illust.com(阿部モノさん、miyukiiiさんのイラストをお借りしました)
2021/12/02 09:00
【薬局活用】これ飲んでもいいですか?
こんにちは。
「こんなことも、ぜひ薬局で尋ねてください」のシリーズをお届けします。
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市販薬やサプリメントを始めようとしていることも、ぜひ、お気軽にご相談ください
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医薬品には、区分があります。
医師・歯科医師の処方せんや指示に基づいて使用される、医療用医薬品と、
薬剤師などのアドバイスのもとで購入される、一般用医薬品・要指導医薬品があります。
医療用医薬品は、作用や使用方法の点で、専門家の管理が必要な医薬品であり、ほとんどが医療保険の対象となります。
病院・診療所・歯科診療所を受診して、医師・歯科医師による診断を受け、あなたの症状などに応じた医薬品が処方されます。
薬剤師は、その医薬品があなたの状態に合っているかを確認した上で(ダブルチェックの意味合いです)、使い方を説明し、使用中の体調の変化などをお伺いします。
医療用医薬品は、あなたの状態に合わせて、種類や量を決められています。
余った薬を自分の判断で使用したり、似たような症状だからと言って、他の人に譲ったりしてはいけません。
一般用医薬品・要指導医薬品は、みなさまが薬局・薬店・ドラッグストアなどで、薬剤師などのアドバイスを受けて購入し、自分の判断で使用するものです。
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」をセルフメディケーションといいます(WHO定義)。
一般用医薬品・要指導医薬品は、成分の種類や含有量などの点から、指示されている用量通りに使う範囲で使っている分には比較的安全であり、誰でも使いやすいように工夫されています。
「痛み」「鼻水」「くしゃみ」「胃痛」など、症状から薬を選んで使いやすいようになっているものが多いです。
使用量や使い方の説明書が添付されているので、必ず確認しましょう。
ただし、市販薬を使う時に、注意して欲しいことの一つが、
必要以上に「薬で我慢しない」ことです。
病院に行くべき時には、行ってください。
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というのも、私自身の失敗談をご紹介します。(本当にお恥ずかしいのですが)
ゴールデンウイーク中に、とある活動のために遠方に行きました。
飛行機を降りた時点で、猛烈な具合悪さと右足すねの痛みに襲われました。
でも、ゴールデンウイーク中ですし、出先です。
薬局で痛み止めを買いました。
猛烈な痛みでしたが、痛み止めを飲んで30分我慢すると、怖いくらいにばっちり効きました。
その状態は、ゴールデンウイーク期間中続いていました。
そして、帰宅後、病院に行きました。
・・・即、入院しました。
(蜂窩織炎で、CRP10ありました…)
本当に、よく効く反面、薬は正しく使わないと怖い、と感じました。
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市販薬やサプリメントを購入する時には、
①ご自身の症状を伝え
②薬の使い方の説明を受けてください
これまでの副作用の記録なども見せていただきたいので、購入時には、必ず、お薬手帳をご持参されることをお願いします。
かかりつけの薬剤師に、事前に、こういうのを使おうと思う、と相談されても良いです。
市販薬の販売をしていない薬局でも、相談はいくらでもしてください。
市販薬を購入するとき、
「この薬を飲んで◯日たっても、症状が改善しないときには、病院に行ってください」
「申し訳ありませんが、薬は販売できません。病院に行ってください」
と、説明してくれるところで購入されることを、おすすめします。
ただ売るのではなく、状況に応じた対応を説明できる薬剤師でありたいと思っています。
こちらの記事も、よろしければご参照ください。
2021/12/01 09:00
【お薬手帳】マイナンバーカードが保険証になる??
最近、テレビ CM で、“マイナンバーカードが健康保険証になる”という話を耳にされた方も多いのではないでしょうか?
こちらは、現在、政府が進めている政策の一つです。
マイナンバーカードに健康保険証の情報を紐づけることで、
受診・来局されたときに医療機関にあるカードリーダーにマイナンバーカードをかざすと、医療保険の情報(保健番号、期限など)が医療機関に伝わります。
①どこの医療機関でも利用できるのか?
オンライン資格確認が導入されている医療機関のみで利用できます。
政府は、令和5年3月末までに、ほぼ全ての医療機関に導入されることを目指して、進めています。
(カードリーダーの設置も進められていますが、現在は、世界的な半導体不足などもあり、少しずつ進んでいる状態、とご理解ください)
※当薬局では、利用していただけるように申請していますが、機器が届いていないため、まだ、利用いただけません。
②マイナンバーカードがないと受診できないのか?
いいえ。
従来通り、健康保険証をご提示いただけると、医療保険で受診・調剤をうけることは、もちろん、可能です。
③マイナンバーカードを医療機関に一時的にでも預けるの?
いいえ。
窓口にある専用のカードリーダーを、ご自身で操作していただけます。
④マイナンバーカードを持っていたら、自動的に健康保険証が読み取られてしまうの?
いいえ。
マイナンバーカードをお持ちの方で、健康保険証としての利用に同意される方は、利用開始の手続きが必要です。
利用開始の手続きをした後に、マイナンバーカードが健康保険証として利用できます。
マイナポータルかセブン銀行ATMで手続きができます。
逆に言うと、マイナンバーカードを持っているが、健康保険証としての利用をしたくない方は、利用開始の手続きをしなければ、健康保険証の情報と繋がることはありません。
⑤マイナンバーカードを健康保険証にすると、どうなるの?
・医療機関は、オンラインで健康保険証の情報を確認します。
転職などで、健康保険証が変更になった後も、医療機関では変更を伝えていただけないとその場では分かりませんが、オンラインで確認すると、健康保険証が有効かをその場で確認することができます。
→(あなたのメリット)変更になった後、「新しい健康保険証が届いていないから受診できない」という心配が減ります。
→(医療機関のメリット)保険の請求間違いが減ります。
・これまでに受けた特定健診などの記録を、医療機関が確認できます。
→(あなたのメリット)健診結果を紙で持っていかなくても、内容を伝えることができるので、あなたの健診内容を理解した上で、あなたに合った診断・治療を受けることができます。
※カードリーダーにかざした時に「薬剤情報/特定健診情報閲覧に係る同意」に、「同意」した人については、医療機関はマイナンバーカードと紐づけられた情報を確認することができます。
・過去の投薬の記録を、医療機関が確認できます。
→(あなたのメリット)お薬手帳がない時でも、過去の投薬の記録を伝えることができます。
※カードリーダーにかざした時に「薬剤情報/特定健診情報閲覧に係る同意」に、「同意」した人については、医療機関はマイナンバーカードと紐づけられた情報を確認することができます。
・従来の支払いが変わります。
→(あなたのメリット)急な入院時などにも安心です。
入院など、支払う医療費が高額な場合には、一定額まで補助する仕組み(高額療養費制度)があります。
従来は、事前申請して、申請が通って認定証が届いた後に、その手続きをとります。
そのため、退院までに間に合わない場合など、一時的に高額な自己負担金を支払うこともありました。
今後は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、あなたが高額療養費制度等との紐付けに同意された場合、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。
※カードリーダーにかざした時に「限度額適用認定証等の情報提供に係る同意」に、「同意」した人については、限度額適用認定証の内容が確認できるため、別に申請をすることなく、手続きが可能です。(口頭で伝えることもできます)
⑥お薬手帳の代わりになるの?
残念ながら、現時点では、お薬手帳の代わりになるものではありません。
医療機関・薬局では、1ヶ月の記録をまとめて、治療費・薬代を請求しています。
医療機関・薬局から送った情報をマイナンバーカードに紐づけられるので、情報が掲載されるまでには、1ヶ月以上の時差がどうしても発生してしまいます。
さらに、お薬手帳には、過去の薬の記録だけでなく、薬の副作用、アレルギー、市販薬の記録なども残しています。これは、マイナンバーカードには載りません。
お薬手帳は、これからも引き続き、活用していただけるようお願いします。
参考)
厚生労働省ホームページ内
マイナンバーカードの健康保険証利用について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
お薬手帳についての解説は、これまでに書いた記事を参考にしていただけると幸いです。
>お薬手帳